【京都市】右京区『太秦』の「太秦キネマ・ストリート」&「大映通り商店街」で日本映画の歴史を体験!
WRITTEN BY RICA
京都市東山区に鎮座する豊国神社が、この冬、特別な注目を集めています。
京都市観光協会などが主催する恒例企画「京の冬の旅 2026」において、同神社では通常非公開の文化財を含む特別拝観が実施されています。

なかでも「豊国祭礼図屏風」と「洛中洛外図屏風」の公開は、歴史・美術ファンの間で話題となっています。

2026年のNHK大河ドラマの影響もあり、多くの観光のひとで賑わう「豊国神社」。
豊国神社は、京都市東山区茶屋町に鎮座する神社で、戦国時代の天下人・豊臣秀吉(1537–1598)を主祭神として祀る神社です。
秀吉の死後、彼を神格化した「豊国大明神」として祀るために創建され、その成立と変遷は、豊臣政権の栄光と没落、そして徳川政権下での抑圧と復活をそのまま映し出しています。

手水舎では瓢箪がお水を出してくれます。

「京の冬の旅 2026」での豊国神社特別拝観は、単に“貴重な文化財を見られる機会”にとどまらず、秀吉が夢見た都の姿と、それを生きた人々の熱量に向き合う時間を与えてくれます。

東映太秦映画村で2025年夏にまつりをプロデュースした際に参考にさせてもらっていたのが、「豊国神社」の「豊国祭礼図屏風」の風流踊りや猿楽などの人々でした。

まずは特別公開の書院。

そして「豊国祭礼図屏風」複製図が目の前で間近に見れます。

「豊国神社祭礼図屏風」は、豊臣秀吉が没後に神格化され、豊国大明神として祀られた後の祭礼の様子を描いた六曲一双の屏風絵。

金地を背景に、神輿行列、囃子方、踊り手、見物人までがびっしりと描き込まれ、画面全体が揺れ動くような躍動感に満ちています。

注目すべきは、武家や公家だけでなく、町人、子ども、旅人、物売りといった多様な人々が同じ画面に並列的に描かれている点。

有名な「たけのこ男」も見れます!

これは単なる宗教行事の記録ではなく、秀吉という存在が階層を超えて京都の民衆文化に浸透していたことを雄弁に物語っています。
美術史的には、祭礼図でありながら洛中洛外図の構図や視線誘導を踏襲しており、「政治・信仰・都市文化が融合した“豊臣時代の都市イメージ”」を示す重要作と位置づけられています。

「宝物館」では、狩野内膳(かのう ないぜん) が描いたとされる作品が、豊国神社所蔵のオリジナルとされています。
これは秀吉の七回忌(慶長9年/1604年)に行われた豊国大明神臨時祭礼を描いた六曲一双の屏風で、当時の祭礼の様子を詳細に記録した重要文化財です。
内膳は桃山時代〜初期江戸期の絵師で、狩野派の一員として活躍した画家です。

この日は特別に「豊国祭礼図屏風」に携わった裕人礫翔さんとご一緒に拝見いたしました。
裕人礫翔さんは、西陣に伝わる伝統的な箔工芸の技術を用いて、古画や屏風・襖絵などの文化財の金箔部分の復元・補修を行って来られてます。
単なる修理ではなく、本来の美観を再現しつつ劣化を補う高度な技術が要求される作業です。

礫翔さんは、文化財保存の一環として進められている デジタルアーカイブ制作にも参加。
伝統技術とデジタル技術を組み合わせることで、古い絵画や屏風の劣化前の姿を可能な限り再現する取り組みに貢献しています。
2006年には、国宝「風神雷神図屏風」の高精細複製制作を行い、建仁寺へ奉納した実績もある方です。
裕人礫翔さんの修復・保存作業は、「失われつつある金箔装飾の色味や輝きを、文化財本来の状態に出来る限り近付ける」ことを目標としており、伝統工芸の枠を超えた文化財保全の専門性を備えています。

素晴らしい技術を目の当たりにしながらご本人に話を聞けるという贅沢!
学生案内人もアイドルに会ったかのように「キャーキャー」言うてはりました。

「たけのこ男」も見れました!

南蛮人らも見られます。

本当に何度拝見しても楽しい屏風絵です。

他にも甲冑や馬印など見るものがたくさん並んでいます。




骨喰藤四郎(ほねばみとうしろう)は、日本刀史の中でもとりわけ名高い名物刀剣の一振で、粟田口派の名工 藤四郎吉光 の作とされる短刀です。
その名は一度聞けば忘れがたい。「骨まで喰らい、骨すら残さないほど鋭い」という伝承に由来し、実戦における凄まじい威力を象徴する異名として語り継がれてきました。
骨喰藤四郎は、戦国期に名だたる武将たちの手を渡り歩き、最終的に豊臣秀吉の所持した名物刀剣の一つとして知られるようになりました。
薙刀から刀に変えたのは、足利尊氏だそうです。
源頼朝ー大友家ー足利尊氏ー松永久秀ー大友家ー秀吉ー徳川家に渡った名刀です。
今冬、京都国立博物館へ寄託されている「薙刀直シ刀 無銘吉光(名物骨喰藤四郎〈ほねばみとうしろう〉)」(重文)が里帰りです。
「斬る真似だけで骨まで砕く」という伝説をもつ名刀(~2月3日(火)まで展示、以降は写し(再現刀)の展示)。
「宝物殿」には秀吉が実際に使用していた枕も展示。
悪夢を食べてくれる漠の枕です。

また皇室歴代の位牌や念持仏を祀った恭明宮の遺構である「書院」も特別公開され、秀吉の羽織「黄紗綾地菊桐紋付胴服〈きさやじきくきりもんつきどうふく〉」(重文)が展示されています。

書院には、「洛中洛外図屏風」が展示されていました。

あわせて公開される洛中洛外図屏風は、戦乱を経て再編された京都の姿を、鳥瞰的な視点で描いた作品。

「高津商会」でも洛中洛外図屏風(高津家版)を所蔵していたこともあり大変気になってました。
御所、二条城、寺社、市井の町並みが精緻に描写され、行き交う人々の数は数千とも言われます。

この種の洛中洛外図は、単なる都市風景画ではない、「天下統一後の安定した都」を視覚化する政治的メッセージとしての役割を担っており、秀吉政権下における京都の復興と繁栄を象徴しています。
豊国神社でこの屏風を見る意味は大きいとされています、なぜなら秀吉が“人としての権力者”から“神として祀られる存在”へと変貌していく過程を、都市(洛中洛外図)と祭礼(祭礼図屏風)という二つの視点から体感できるからです。

観光シーズンの喧騒が落ち着く冬の京都は、屏風絵を鑑賞するには最適な季節と言えます。
金箔の輝きは柔らかな自然光に溶け込み、細部に描かれた人々の表情や所作が、より生々しく立ち上がってきます。
歴史を「知る」のではなく、「感じる」。
この冬、豊国神社の屏風の前で、動き出す京都の記憶に耳を澄ませてみてはいかがでしょう。
「京の冬の旅」非公開文化財特別公開 豊国神社 書院・宝物館
2026年1月9日(金)~3月18日(水)
豊国神社
〒605-0931
京都府京都市東山区大和大路通正面 茶屋町530
(Yahoo!ニュース掲載2026年1月30日)
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RICA
京都で生まれ育つ。世界各地を周遊、欧米中心に20年ほど滞在し京都に帰還。日本のコアな伝統文化や芸能、神社仏閣や裏歴史、催事らを国内外の旅サイト・雑誌・新聞で執筆。経験に基づく“陰謀説”の電子書籍出版あり。
フォトジャーナリスト、写真映像家、音楽・イベントプロデューサー、特殊ツアープロデュース・ガイドから日本庭園庭師までマルチに活躍。
日本映画の発祥時より美術装飾や小道具、祭などに携わってきた”ジャパニーズハリウッド”京都太秦にある老舗『髙津商会』にて映画・美術装飾・アート&エンタメ、海外事業に携わりつつ伝統文化・芸能などに関わる史実や古美術、伝統工芸、伝統産業や教育まで幅広く活躍中。
『京愛』や『日本愛』を深め世界進出を夢見る毎日。