【千葉市】小さなパン屋、モワティエさん
WRITTEN BY 格さん
日本でワインの産地というと、山梨や長野、北海道の名が上がりますが、千葉県館山市でブドウを栽培し、醸造を始めた人がいます。マシューズワイン株式会社代表の齋藤玄さん。剪定や収穫の際には仲間や支援者が集まり、みんなで作業を行っているというマシューズワイン株式会社のブドウ畑と醸造所にお邪魔しました。

大手酒造メーカーに勤務し、オーストラリアのワイナリーで働いた経験がある齋藤さんは、自分のワイナリーを「人がやっていない場所でやろう」と考えていました。選んだ土 地は、おばあさんが住んでいたためよく遊びに来ていたという館山。耕作放棄地でセイタカアワダチソウが生い茂る土地を開拓し、ブドウ畑にしました。温暖な房総半島では赤色 が付きにくいことと、シーフードに合うという理由から、95%白ワインの品種を植えています。

私が訪れた7反(約7,000平方メートル)のブドウ畑には、1列に30本強のブドウが23列植えられていました。品種は、ピノグリ、シャルドネ、シラー、シュナンブランの4種類。他の畑には、アルバリーニョ、甲州、トレビアーノもあります。
2021年に植えられたブドウの初収穫は、2024年。約1トンのブドウを収穫しましたが、まだ製造免許がなかったため知人のワイナリーで破砕(はさい)して、果汁を冷凍しました。
そして2025年8月、収穫作業のために10人以上集まりました。作業があるたびに通っているという人、今回初めて参加したという人、市内からの人もいれば、都内から来た人 も。日本人だけでなく海外の人もいて、齋藤さんの交友関係の広さを感じさせます。

長野だと10月に収穫するような品種のシラーが、温暖な館山では8月に収穫できるので、「台風の前に収穫できるのがいい」と齋藤さんは言います。今年はカラスの被害に遭い、収量がかなり少なくなってしまいました。それでも、収穫は喜びそのもの。3年前に苗の植え付けを手伝ったという人は「2倍以上大きくなっていて『こんなに育ったんだ!』と思いました。当時は緑のない景色だったけど、今は全然違う」と、苗の成長ぶりと畑全体が緑に囲まれて美しくなった様子に驚いていました。

収量が少なかったため、収穫したブドウの茎を取り除いて手で破砕作業を行いました。「プチプチする」とか「洗濯物をしている気分」など、感想を言いながら作業を進めていました。

2025年12月、マシューズワイン株式会社として初めての瓶詰作業がありました。今回も、齋藤さんの高校時代の同級生や、山梨でブドウを栽培し、委託してワインを作っているという方など個性豊かな人たちが集まり、作業をこなしていました。皆さん口にするのが、「応援したくて」とか「昔からの仲間なので彼が成功するまで来たい」とか、心のこもった言葉とともに真剣に手を動かします。
齋藤さんが初めて自分のワインを飲んだ感想を聞いてみると「意外と出来が良くておいしかった」と笑顔で答えました。ほとんどが白ワインなので、魚介や房総半島の郷土料理“なめろう”、サンマの塩焼きなど「房総の海の幸に合う」と言います。

東京ではなく、できるだけ房総半島に足を運んで購入してもらうのが齋藤さんの理想です。道の駅とみうら枇杷倶楽部や地元のスーパー「おどやスーパーセンター館山店」、地元の酒屋などで販売しているので、購入を考えている方はマシューズワイン株式会社のWebサイト
で確認してください。
8月に訪れたとき「房総でブドウを作る仲間が増えたらここで加工できるし、コミュニティができる」と齋藤さんは話していました。
12月には、「房総に移住してブドウを作っている人が見学に来ました。ブドウを作りたい人が集まって、ここで瓶詰して。そういうハブになればいいですね」と、実現しつつある目標を力強く語っていました。

齋藤さんが販売しているこだわりのワインに「Southern Grace(南の恵み)」と名付けられたワインがあります。南オーストラリア産のぶどうと、南房総・館山のぶどうをマリアージュさせたワインのラベルは、長年館山市とスペインの2拠点生活を続けてきた画家石井崇さんが描いた館山の絵が使われています。ワインの味わいだけでなく、ラベルからも館山を感じられる逸品。赤と白の両方を味わった私は、濃厚でガツンときたあとに広がる余韻が心地よく、次の一口へと誘われる赤が気に入りました。
みなさんもぜひ、お気に入りの館山産ワインを見つけてください。
【詳細情報】
名称:マシューズワイン株式会社 館山ワイナリー
住所:〒294-0057 千葉県館山市川名774番
公式webサイト(外部リンク)
取材協力:マシューズワイン株式会社 館山ワイナリー、石井崇さん、作業に参加したみ
なさま ※順不同
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バックパッカーで世界を旅して漂着したのは、千葉県房総半島の安房(あわ)。ボロボロ古民家を仲間と改修しながら、犬猫ヤギと暮らしはじめる。安房の自然にどっぷり浸かりながら、アウトドアや暮らしを堪能しつつ、魅力ある人や場所を紹介している。
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