【横浜市】の歴史を語る上で欠かせない“美しい博物館”のようなクラシックホテル「ホテルニューグランド」
WRITTEN BY 佐原ねお
2001年に「人類の口承及び無形遺産の傑作」として宣言され、ユネスコの世界無形文化遺産に初めて指定された「能楽」。“能”と“狂言”からなる能楽は、現在でも当時の形式のまま演じられている世界最古の舞台演劇だと言われています。
2026年1月31日、神奈川県による能楽ワークショップが、横浜市内にある県立青少年センターで開催されました。今回はそのワークショップ体験に参加した様子を紹介していきます。

ワークショップの講師を務めてくださったのは、「鎌倉能舞台」所属の中森貫太さん。最初の自己紹介から、すでに能楽の世界が始まっていました。
「能楽」についてもし海外の方から、あるいは子どもから質問を受けたら、どのように説明しますか?正直、大人でもなかなかうまく説明できない方も多いのではないでしょうか。
参加したワークショップでは、そんな親子でもわかりやすく、親しみやすい内容のレクチャーから始まっていきます。

冒頭で“能”と“狂言”からなると述べましたが、能は主に「怒」や「哀」を表現する歌舞劇、狂言は主に「喜」や「楽」を表現する喜劇。
ただ古いというだけでなく、当時の台本や演出がそのまま使われており、能面・装束・楽器などの道具を今も実際に使用できる世界でも稀な演劇なのです。

約束事が多く、初めての人には少しわかりにくく感じられることもありますが、知れば知るほど奥深く、感じ方が変わってくるのも能楽の魅力です。

ワークショップでは、能と狂言の舞い比べも見せてもらいます。同じ曲で同時に舞われることで、一見似ていながらも動きが異なるのがわかりやすくなっていました。

間近で見せてもらうことで、子どもたちにも少し難しく感じていた伝統芸能がぐっと身近に感じられたようです。

そして実際に子どもたちも狂言を体験してみることに。立ち方や声の出し方、笑い方などの感情表現を、狂言独特の型に沿って教わります。

狂言で表現される動物の鳴きまねあてクイズです。クイズ後はみんなで実際にまねてみます。
狂言は台詞を中心に物語が進む喜劇。顔の表情と同じように、声でも感情を大きく表現するのが大切なようです。

大きく笑っていますが、実は腰を入れた独特の立ち方がキツかったそう。それでも「動物の鳴きまねもできて楽しかった!」とのこと。
最初は戸惑いながらも、次第に大きな声と動きで表現できるようになり、会場には元気な声や笑いが響き、楽しみながら表現する姿が見られました。

続いて、能の体験。能の歩き方はすり足が基本です。頭は動かさず、体重をかけずに膝をつけたまま歩きます。足のサイズが歩幅になるのだとか。
主役である「シテ」は能面をつけるので、この歩き方であれば能面も安定しそうですし、着崩れしにくそうでもあります。

そして謡曲にも挑戦。講師の方のお話でなかなか面白いと思ったのが、謡曲は各地の訛りがある武士たちの共通語としての、教科書のような役割も果たしていたのだとか。
そういった背景もあって能楽は変わらなかった、また変わっていくわけにはいかなかったのでしょう。

武士の声は力を体現するもののひとつで、講師のお話を聞いていると、声もまた武器のひとつとして捉えられていたことが伝わってきました。
声がその人の在り方そのものを映し出すものになっていたので、まさに謡曲の声出しのように声に威厳があるということが大切だったようです。

そして参加した子どもが一番楽しかったと言っていたのは、能面体験。実際に舞台でも使われている能面をつけさせてもらいます。

ちょうど2025年の大河ドラマで何回も登場していたので、一緒に視聴していた子どもは大興奮。つける前には、能面にお辞儀をしてつけさせてもらいます。

能面は主にシテがつけ、神様、老人、女性、少年、また鬼や幽霊といったこの世ならざる存在を表現するために面をつけます。ただ、成人男性を演じる場合は能面をつけないということです。

穴がとても小さいので、実は役者には舞台の床が見えていません。そのため柱を目印にしているそうです。

真正面から見ると無表情のような能面ですが、能面には視線があり、見る角度によって表情が変わります。
下を向いていると泣いているように、上を向いていると微笑むようにも見えるのです。

能面にはいろいろな意味や役柄があることを知り、もっと知ればこれから時代劇で能面が出た時も見方が変わって、より面白くなりそうです。
また最後には能装束の着付実演や、能ミニ鑑賞を間近で見させてもらうことができました。
こちらは撮影が許可されていない場面でしたのでご紹介はできませんが、何人もの方が協力し合って流れ作業で着付をしていく姿は、舞台の裏側に息づく伝統と緊張感を肌で感じることができます。

また能についての基礎知識を得たところで鑑賞した能は圧巻。子どもたちも夢中で見入っていました。
こちらのワークショップは、神奈川県の広報紙「県のたより」で開催を知り、子どもが参加してみたいと興味を持ったので応募しました。こちらでご紹介したのはほんの一部ですので、ぜひ機会があれば親子で参加してみてほしいワークショップです。

正直、大人も子どももずっと正座しなきゃいけないのなら耐えられないのではないかとも心配していましたが、会場に入ると参加者と見学者の分も含めた椅子が用意されていたので安心しました。

対象は県内の小・中学生とその保護者。参加料金は1人1,000円となっており、保護者は無料で見学させてもらいました。また小・中学生のみの参加も可能となっています。

ワークショップの講師が所属される「鎌倉能舞台」では、公演はもちろん、予算に合わせた大人向け・子ども向けの能楽鑑賞教室も開催しています。
子どもに能楽の公演を見せてみたいと思われる方は、ぜひ初心者向けか、子ども向けの演目かを気軽に訊いてほしいということです。
わかりやすくすると能楽ではなくなってしまうというところも奥深く、魅力のひとつとなっています。能楽を観にいかれる際には、事前にあらすじを下調べしておくといいそうです。
興味のある方は、ぜひ記事最後にあるサイトをご覧になってみてください。
神奈川県ホームページ能楽ワークショップの紹介ページはこちら
鎌倉能舞台
公式サイト:鎌倉能舞台
アクセス:JR「鎌倉駅」乗り換え、江の島電鉄「長谷駅」より徒歩7分
住所:神奈川県鎌倉市長谷3-5-13
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