【千葉市】小さなパン屋、モワティエさん
WRITTEN BY 格さん
千葉県鴨川市のメガソーラー開発計画は、開発許可条例に違反する森林伐採を確認したため、現在工事は中断しています。千葉県が有識者会議を設置し、23日に現地確認が行われるのに合わせて、「鴨川の山と川と海を守る会」の呼びかけで有識者の皆さんに向けてサイレントアピールが実施されました。100人以上の人が集まったサイレントアピールの様子と、ドローンで撮影された現場の様子をお伝えします。

鴨川市田原地区の山林146ヘクタール(東京ドーム約32個分)に約47万枚の太陽光パネルを設置するという、山林開発を伴うメガソーラーとしては日本最大規模の計画については、「『まだ間に合う』メガソーラー開発と市民の声が問いかける未来。自然環境を守るために【鴨川市】」をご覧ください。
今年10月下旬に、計画で残す予定だった2カ所の森林約1.5ヘクタールが伐採されていたことが判明しました。その後の調べで、許可を得ていない山林約0.9ヘクタールの伐採が新たに発覚し、伐採が確認された場所は合計13カ所、約2.4ヘクタールになりました。

千葉県は10月下旬に工事の一時中止を要請し、現在は工事がストップ。さまざまな角度から技術助言を受ける目的で、土木工学や森林などの専門家による有識者会議を立ち上げ、11月18日に会議が開かれました。そして今日12月23日、有識者の現地視察に合わせてサイレントアピールが実施されました。

思い思いの言葉をしたためたメッセージを手にする人、大漁旗を持参した人たちが、次々に集まりました。100人以上の市民が3ヵ所に分かれ、自分たちの気持ちを伝えようと、寒い中有識者たちが乗った車が来るのを待ち続けました。

来られる人が来られるタイミングで、メガソーラー反対の活動に参加しているというサーファーたちが、10人ほど集まっていました。中には「Save 鴨川 森は海の命」と書かれた板を持つ人が。1980年代、ハワイの有名なサーフスポット「サンセットビーチ」で持ち上がった大規模な開発計画に、コミュニティが連携して反対した結果、自然景観が守られ、土地の一部に誰もが楽しめるビーチパークができたそうです。サーファーの間では有名な話で、鴨川も同じようになってほしいという願いが込められていました。

千葉市に住む造園業のメンバー5人は、昨日館山市内で作業をしていたため、館山に滞在していました。そのときこのサイレントアピール実施のことを知り、駆けつけました。「向こう(業者)の思いはわからないけれど、伝わる人に伝わってほしい。ここだけでなく、全国で同じようなことが起こりうる」と、鴨川市だけでなく全国目線で心配していました。
市内在住の女性は、「出来ることはやりたいと思って、何とか都合をつけて来ました」と、現場に駆けつけました。小さな子どもを連れた女性は、昨夜夜なべをしてメッセージを書いたそうです。「ちゃんとした説明もなく、市民の声を聞いてもらっていない。山を壊すとどんな影響が出るのか。どんな未来を子どもに渡すのか分からない。一度立ち止まって、山を壊すのではなく、いい方法をみんなで考えるきっかけを作れると思って来ました」と話していました。

知人が開発の反対運動をしているのを見ていたという女性は、ドローンで撮影された写真がショッキングで、他人事と思えずに参加しました。「浜の清掃活動をしていると、木がたくさん流れてきます。現場で切ったあの木片を早く片づけてほしいです。頑張っている人がいるから、その頑張りに協力できれば」と話します。

市内在住の女性は「進むと思っていなかった。8月末に山に白いものが見えてびっくりして、すぐ『鴨川の山と川と海を守る会』の勝又さんと連絡をとりました。何もしない訳にはいかない。できることをしたいと思って昨日作りました。どういう言葉がいいかまとまらず、全部貼り付けました」と、言葉を貼り付けた段ボールを身にまとっていました。
都内から鴨川によく通っているというグループが、東京から駆けつけました。「鴨川には山も川も海もあって、素晴らしい町だと思う。鴨川の自然が大好きだから、この自然を残してほしいと純粋に思います」と話します。
開発計画が持ち上がる前、この周辺の山でハイキングを楽しんでいたという男性もいました。「尾根が傷んで変わり果てた姿に、心が痛みます」。
100人以上集まった人たちは、1人1人が心からのメッセージを持っているので、その熱い想いを全て紹介できないのが残念です。
サイレントアピール現場には、報道関係者も何社か来ていて、テレビカメラを回したり写真撮影をしたりしながら、有識者たちが乗る車をひたすら待ちました。10時半を回ったころ、有識者を乗せているであろう1台の黒い車がカーブを曲がり、サイレントアピールの前を通りました。市民は静かにメッセージを掲げました。数分遅れてもう1台車が通り、建設現場へと向かって行きました。

「鴨川の山と川と海を守る会」代表の勝又國江さんは、今日のために100人規模でのサイレントアピールを行うと警察に届けを出したそうです。集まってくれた100人以上の人たちに対して「目標数に達しましたし、有識者や県の人にアピールできたと思います。工事を中止にする方向でどんどん動いていると思う。想いを届けて、中止にしたい。来年はいい年にしたいです」と、集まった人たちに話しました。
「鴨川自然と結いの会」事務局の長須賀和枝さんは、激動の一年を振り返ったあと「努力 した甲斐あったのか、国、県も動きだしてくれ、白紙撤回の道筋も少し見えてきた気がします。今日のサイレントアピールも、急な要請に動いてくださった市民の皆さんに感謝です。鴨川のために、絶対この計画を白紙にする思いを強くしました」と、感想を寄せてくれました。

サイレントアピールに参加していた犬の松五郎を見ていると、この山に住む動物たちの代表のように感じました。人間によって多くの住処を失ってきた動物たち。これ以上自然を壊す必要があるのか、自分の子どもや孫たちに残したい未来はどんな世界、どんな鴨川なのか。「Save 鴨川 森は海の命」。いつかこの場所に、サンセットビーチのような公園を造るのも、一つのアイデアですね。各報道機関が今日の出来事をどのように伝えるのか、今後も注視していきたいところです。
取材協力:鴨川の山と川と海を守る会
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バックパッカーで世界を旅して漂着したのは、千葉県房総半島の安房(あわ)。ボロボロ古民家を仲間と改修しながら、犬猫ヤギと暮らしはじめる。安房の自然にどっぷり浸かりながら、アウトドアや暮らしを堪能しつつ、魅力ある人や場所を紹介している。
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