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WRITTEN BY 奥河内から情報発信

2022年の誕生以来、元名門ホテルのフレンチシェフが手掛ける本格バーガーとフライドポテトで人気を博した、岬町の「pommes frites(ポンム フリット)」。
2025年2月、惜しまれつつも一度は幕を下ろしましたが、最終日には開店と同時に完売。
再始動を願う熱烈な声に後押しされ、8カ月後の2025年秋、待望のリニューアルオープンを果たしました。
今回の再始動にあたり、運営を株式会社 ソワンへ継承。前オーナーの白方さんは「監修」という立場で引き続き店を支えることになりました。

東京のレストランや名だたる名門ホテルでフレンチシェフとして研鑽を積んだ白方 敏和(しらかた としかず)さん。その出発点は、フランスで出合った「料理」としてのハンバーガーでした。
ファストフードの枠を超えた奥深い味わいに感銘を受け、フレンチの技と理論を活かしたバーガー作りを決意。コロナ禍という状況も重なり、本格的な味をテイクアウトでも楽しめる「ワンハンドフード」の可能性に辿り着きます。
はじめに伝えたいのは、ここでの体験がこれまでの「ハンバーガー」のイメージを少し変えてしまうかもしれない、ということ。フレンチの技法が息づく、一皿の料理としてのこだわり。
その魅力を、ひとつずつ紐解いていきたいと思います。

フレンチシェフの技が詰まった自慢の具材たちを、最後まで美味しく受け止めるのは、老舗パン屋「峰屋」(東京)の特製バンズ。
主役のパティから計算し尽くされたソースまで、そのすべてを包み込む「器」を、個性豊かな3種類から選ぶことができます。
ハンバーガーショップでは珍しく、自分好みのバンズを選べるのがうれしいポイント。
「pommes frites」では、バンズもコース料理を構成する大切な一品と捉え、決して妥協を許しません。

さらに、注文を受けてから鉄板で両面を丁寧に焼き上げてくれるため、外はカリッと、中はふっくらとした最高の状態で提供されます。
わたしは、ふんわりとした食感が特徴の「酒種」をチョイス。鉄板で焼いたそばから甘い香りが漂い、食べる前からその美味しさを確信しました。

ハンバーガーの命ともいえるパティには、和牛のみを扱う牛肉専門店から仕入れた、極上の和牛と国産牛(ホルスタイン)の100%粗びき肉を使用しています。
あえて国産牛をブレンドしているのは、和牛特有の重たすぎる脂分を抑え、最後まで美味しく味わってほしいというシェフのこだわりから。これにより、旨味は濃厚ながらもしつこさのない、洗練された後味に仕上げています。
つなぎは一切使わず、素材の味そのままで。
フランスは「ソースの文化」と言われているほど、ひとつのソースが料理の完成度を左右します。「pommes frites」のハンバーガーを語る上で欠かせないのが、そのフレンチの技法を惜しみなく注ぎ込んだ「手づくりソース」への期待です。

じっくりと時間をかけて煮込まれたトマトソースや、絶妙な酸味を計算した自家製マヨネーズ。ジャンクなイメージの強いハンバーガーが、ソースの手仕事によって「丁寧な一皿のフランス料理」へと昇華しています。
そのこだわりを知ると、目の前に運ばれてくる瞬間が待ち遠しくなります。
また、味のアクセントとなるフィリングには、フランス産のコルニッション(小さいきゅうりの酢漬け) を使用し、軽やかな酸味のリズムを演出しています。

そして極めつけは、ブルターニュの海が育んだゲランドの塩。

海水からわずかに採れる一番結晶「フルールドセル(塩の花)」。
フレンチのメインディッシュで供されるような希少な塩が、ここでは野菜や肉の甘みを引き立てる名脇役として活躍しています。
一見すると、海辺の街で楽しむカジュアルなハンバーガー。けれど、その実態はフレンチの伝統とシェフが大切に温めてきたこだわりが詰まった、どこまでも丁寧な「一皿料理」なのです。

ハンバーガーメニューは、和牛と国産牛100%のパティ(120g)を主役にした3種類がラインナップ。
すべてのバーガーに北海道産フライドポテトがセットされていて、フレンチの技が光る本格的な味わいを気取らずに楽しめます。
トッピングにハラペーニョ(150円)や北海道産 生ハム(200円)をプラスして、さらに自分好みにカスタマイズしても良さそうですが、わたしは「アボカドチーズバーガー」をオーダー。
ドリンクは、8種のスパイスを使用したクラフトコーラ(500円)を選びました。
厨房で一つひとつの具材が、丁寧にサンドされていく様子を眺めていると、それはもう効率を優先した作業ではなく、一皿を完成させる「調理」そのもの。
厚みのあるパティにチーズが溶け込み、アボカドが美しく重なっていく様子は、まるで繊細な工芸品を仕上げているかのようです。



「pommes frites」では、その「魅せ方」にも細やかなこだわりがあります。
テイクアウトの時は型崩れしないように縦にまっすぐ。一方でイートインの時は、あえて斜めに盛り付けることで、重なり合う層の美しさや断面を真っ先に見せる工夫が施されています。

その迫力に一瞬どう食べようか迷ってしまいますが、スタッフの方が食べやすい大きさにカットしてくれるので安心です。

ここのバーガーの魅力は、なんといってもこの「肉感」!
絶妙な火入れで仕上げられたミディアムレアのパティは、かぶりついた瞬間お肉の旨味がガツンと押し寄せます。一般的なハンバーガーは、濃いソースの味で食べ進めるイメージですが、同店のバーガーは素材そのものの味を存分に楽しめるのが醍醐味。

さらに面白いのが、食べる場所によって変わる味わいのコントラストです。
濃厚なチーズとアボカドが絡むリッチな中心部から、バンズの香ばしさが際立つエッジの部分まで、一口ごとに表情が変わる楽しさがあります。自家製マヨネーズやトマトソースの味わいはとても控えめ。塩胡椒で引き出された素材そのものの味とコルニッションやフライドオニオン、ゲランドの塩、粒マスタードの絶妙なアクセントが重なり、肉の旨味を多角的に引き立ててくれています。
―今まで食べていたものは一体なんだ??
そんなバーガーの概念を覆す美味しさに、ただただ圧倒され、最後のひと口を飲み込むのが惜しくなるほどでした。
数カ月間倉庫で寝かせ、熟成させた新じゃがのみを使用した驚くほど甘い北海道産のフライドポテトや、8種のスパイスを丁寧に煮出したクラフトコーラなど、脇を固めるメニューも文句なしのクオリティ。


ファストフードではなく、紛れもない「料理」。
「pommes frites」のメニューには、その理念が深く息づいていました。

ところで、お鍋の中でグツグツと煮込まれていたあの具材たち。
一体どんなソースに生まれ変わるのか、気になりませんか?
その構想について、白方シェフに少しだけお話を伺ってみました。
「スタッフのリクエストが『照り焼きバーガー』だったんです。でも、普通に和風だしで割るのでは面白くない。あえて手づくりのコンソメで割ることで、BBQソースのような深みとパンチのある仕上がりを目指しています」
王道のメニューを「pommes frites流」にどうアレンジするのか。
その妥協なき探求心から生まれたのが、現在、数量限定で販売されている
「自家製BBQトリュフソースバーガー」(1,580円)です。
なんと贅沢にトリュフまでイン!
お正月料理が一段落したこの時期、無性に恋しくなる「あの味」。
五感を揺さぶる至高のハンバーガーを、自分への“初ご褒美”にしてみてはいかがでしょうか。


【基本情報】
店名:「pommes frites(ポンム フリット)」
公式Instagram(外部リンク)
住所:大阪府泉南郡岬町淡輪1532-1
(Googleマップ参照)
Tel:070-1513-6203
営業時間:11:00~15:00
(売り切れ次第終了)
定休日:火曜・水曜
駐車場:あり(店舗敷地内に10台駐車可)
取材協力 株式会社 ソワン 宮本 翔太 様
料理研究家 白方 敏和 様
*記事内容は取材当時のものです。
*記事中の金額はすべて税込表示です。
*シェフの白方氏は、店舗に常駐はしておりません。あらかじめご了承ください。
SHARE:
旅する日々の記憶と記録。matka08
大阪・泉州在住。
7年の広告制作ディレクションを経て、2022年から4年間、Yahoo!ニュースにて地域記事を執筆。
計8回の最優秀記事賞(MVA)を受賞。
2026年春、同メディアの筆を置き、現在はウェブメディア等での執筆を続けながら、自身のマガジン『Blank.』の創刊に向けて、日々奮闘中。
フィルムカメラとノートが相棒。