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香川県 -丸亀市

【丸亀市】猪熊弦一郎現代美術館の市民割で丸亀市民なら常設展が無料に 学芸員の古野さんと深掘り鑑賞

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ちぃちぃ

全国的にも珍しい駅前美術館として知られる丸亀市猪熊弦一郎現代美術館。何度か足を運んだことのある人も多いのではないでしょうか。4月から同館で市民割が始まり、丸亀市民なら常設展は無料で鑑賞できるようになりました。企画展も割引価格で鑑賞できます。上席学芸員の古野華奈子さんのレクチャーを受け、常設展「猪熊弦一郎展 いのくまさん」を深掘り鑑賞してみました。

絵本の世界をぎゅっと表現

「こどもの ころから えがすきだった いのくまさん」で始まる絵本「いのくまさん」(小学館)は、同館が詩人の谷川俊太郎に依頼して書いてもらった子ども向けの絵本です。この絵本全体を一つの展示室にぎゅっと凝縮したのが、今回の常設展です。

展示作品は絵画28点など。絵本を読み進めるように谷川の詩が添えられた作品たちを鑑賞すれば、「猪熊の画業の変遷を一望できる」(古野さん)と言います。具象を描いていた初期の頃と色鮮やかな抽象に移行した晩年の対比が、くっきり分かるのが面白いとか。そこに詩のリズムが相まって、展示室全体に軽やかな雰囲気が広がっていました。

展示室をぐるっと見渡すと、顔、猫、鳥といった具象作品から始まり、色や形を描いた抽象作品までが順番に展示されています。必ずしも時系列に並んでいるわけではないそうですが、長年の業績がコンパクトにまとまっており、古野さんは「谷川さんの猪熊作品の理解力が素晴らしいことにびっくりしました」と話してくれました。

詩と抽象絵画は「似ている」

詩も抽象絵画も一般的に「わかりにくい」とされがちです。でも、谷川のシンプルな言葉で表現された猪熊さんの世界は、とてもわかりやすいと感じました。冒頭の詩は「おもしろい えを いっぱい かいた」と続きます。谷川が猪熊作品を面白がっている様子が伺えました。

詩の後半部分は、抽象絵画の讃歌のような言葉が続きます。「いのくまさんは いろも すき こんな いろ あんな いろ」。古野さんは展示作品を選ぶ際に、詩の言葉を強く意識したことを教えてくれました。それだけ、絵本の世界観がダイレクトに表れていると言えそうです。

最後は「いのくまさんは たのしいな」で締めくくられます。展示壁いっぱいに広がる大きな作品が鑑賞者を見送ってくれるようでした。

展示室には、持ち帰り自由な塗り絵が準備されており、古野さんは「塗り絵をしてみると、じっくり作品を向き合うことになるのですが、そこで発見もあると思うので、ぜひ、お土産にどうそ」と話していました。

日常に美術を組み込んで

今回の市民割の導入は、企画展の料金の見直しと連動したもの。これまで値上げをせずに頑張ってきたそうですが、4月に企画展の一般料金を950円から1500円に値上げしました。それに伴って導入された市民割なら、900円で鑑賞できるように。逆に割安な料金を設定することで、市民の人に多く足を運んでもらいたいという思いを込めているそうです。

常設展は一般料金が300円のところ、無料になるので嬉しいですね。市民割を利用する際は、1階の受付で運転免許や保険証などを提示してください。

古野さんは「猪熊は、『美術館は心の病院』だと表現しています。市民の方々にも休日に美術館に来てもらって、また頑張ろうという気持ちになってもらえたら、と思っています」と言います。

散歩などの日常の中に美術館を組み込むことは、とても豊かな選択ではないでしょうか。美術館が日常になれば、例えば、一つの作品だけ鑑賞して帰るといったことも可能になります。

「絵画は一冊の本のようなもので、その作品を画家がどうやって描いたのか想像してみると何か発見があるはずです。市民割を使って、一枚の絵画を本を読むようにじっくり鑑賞するような経験を楽しんでほしいと思います」と古野さん。

最後に、古野さんがクイズを出してくれました。常設展の作品の中に、彫刻家のイサム・ノグチの顔を描いたものが2点あるそうです。1点は単独の顔で、もう1点はたくさんの顔が描かれた作品の中にあります。ヒントは横顔です。訪れた人はぜひ、探してみてください。

現在の常設展は7月6日が最終日です。その後も、約2万点の所蔵作品の中から常設展の展示が企画されます。

猪熊さんが「同じ時代を生きている人に新しいものを見てほしい」と願って設立され、ゆったりと落ち着ける空間が自慢の同館。市民割をきっかけに、まずは訪れてみて、日常の中に美術館を組み込んでみたら心地よい時間を過ごせるのではないかと感じました。

基本情報

名称 : 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 
住所 : 香川県丸亀市浜町80-1

アクセス: JR丸亀駅から徒歩で1分程度(丸亀市営駅前地下駐車場が2時間無料)

時間 : 午前10時から午後6時(入館は午後5時半まで)

休館日 : 月曜日(祝日の場合は直後の平日)、年末12月25日から31日、および臨時休館日
電話番号 : 0877-24-7755
公式サイト

この記事を書いた人

ちぃちぃ
ライター

ちぃちぃ

ヘルシーなごはん、そして、雰囲気を含めた「心地よい食体験」が大好きです。時には、知的な発信も手掛けたいと思っています。香川県丸亀市・善通寺市を中心としたエリアの情報を楽しんでいただけたら嬉しいです。

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