【横浜市】の歴史を語る上で欠かせない“美しい博物館”のようなクラシックホテル「ホテルニューグランド」
WRITTEN BY 佐原ねお
【プライスレス藤沢】
~藤沢の魅力を再発見~
藤沢市内で見つけたプライスレスな情報シリーズ。115カ所目は藤沢市本町にある『常光寺(じょうこうじ/正式名称は「八王山 摂取院 常光寺」)』です。

西に『白旗神社』、東に『遊行寺』という2つの名刹に囲まれ、藤沢宿のほぼ中央に位置する浄土宗のお寺『常光寺』。

山号は八王山。元亀3年(1572年)、明蓮社光誉西穏上人によって創建され、『光明寺(鎌倉市)』の末寺として深いつながりを持ちます。
落ち葉がきれいに掃き清められた敷地内には、市指定文化財の庚申供養塔や、六地蔵、詩人の野口米次郎の碑、福禄寿像(『常光寺』の藤沢宿七福神)、藤沢宿旧家の墓所などが点在。

境内のすべての樹木が藤沢市の天然記念物に指定されており、なかでも樹齢300年から400年を数えるカヤの大木は「かながわの名木100選」に選ばれています。

本堂はこちら。

そして本堂から参道を振り返り、山門を望むと、このような光景が広がります。

一切の塵も見当たらず、青々とした木々や四季折々の花々が美しく調和した、非常に整えられた境内。参拝のたびに、心が洗われるような感覚を覚えます。
今回は、『常光寺』の住職・吉田 勝好さんにお話をうかがいました。

観光寺ではないため、インターネット上にはあまり情報がありませんが、先にご紹介した市指定文化財をはじめ、藤沢市の歴史に深く関わる貴重な品々が多く保存されている『常光寺』。

約20年前に『常光寺』を受け継いだ吉田住職は、当初、境内や文化財の手入れが不十分な状況に直面。日々の仏教行事をこなす傍ら、歴史あるものの修繕や整備に力を注いできたと振り返ります。

なかでも、本堂内に安置されているご本尊「木造阿弥陀如来立像(南北朝期の作と推定)」は、1998年に藤沢市の市指定文化財(彫刻)に指定されたもの。

両脇の菩薩像は、江戸時代前期に補われたものと考えられており、「極楽浄土への往生を願う人々を三尊が迎えに来る姿」を表現しています。
あわせて「木造地蔵菩薩立像(南北朝期の作と推定)」も、2016年に市指定文化財(彫刻)に指定されています。

このほかにも、2021年に市指定重要文化財(歴史資料)に指定された「木造蓮華座」や、室町時代の作品と思われる仏像なども保管。

本殿の修繕の際に見つかった、僧侶の「托鉢笠(たくはつがさ)」や、「釈迦誕生図」「釈迦如来画像(元禄13年/1700年)」「一光三尊阿弥陀如来画像(元禄16年/1703年)」などの日本画も、吉田住職の手によって修繕され、大切に保管されてきた寺宝です。


「釈迦如来画像」 解説(一部抜粋)
京都・嵯峨野の『清凉寺』に安置されている釈迦如来像は、江戸時代にたびたび出開帳(寺外での公開)が行われました。記録に残るだけでも、元禄13年、享保18年、明和7年、天明5年、寛政13年(享和元年)、文化7年、文政2年、天保7年、弘化5年(嘉永元年)、安政7年(万延元年)の計10回にわたり、江戸の護国寺や回向院などで出開帳が実施されています。『常光寺』における出開帳の記録が確認されているのは2回で、1回目は元禄13年、2回目は平野家文書「町内手控帳」に記された天保7年12月5日〜6日です(吉田住職より)。
「一光三尊阿弥陀如来画像」解説(一部抜粋)
「元禄・宝永善光寺御開帳回国勧化記」や「円乗院孝憲筆記抜書」には、次のように記録されています。
「元禄十六年二月廿日 藤澤浄土宗常光寺へ着 廿四日迄開帳 廿五日発足」
信州の『善光寺』は、天台宗大勧進と浄土宗大本願の二宗派が共同で管理しています(吉田住職より)。
ご紹介した一部の作品に加え、『常光寺』は『阿弥陀堂跡』から発見された歴史的な品々も所蔵しています。これらの寺宝は、基本的に法要や一部の行事の際にのみ公開されるとのこと。取材日には、仏教行事「花まつり」が催されていたため、特別に本堂内を拝見させていただきました。

境内の緑化をはじめ、敷地内にはベンチを設けたり、ひとつひとつ寺宝の記録を残し、日々ていねいに修繕を尽くす吉田住職。ですが、「多くの方は、東西の有名な神社仏閣を訪れますので、参拝に来るのは檀家さんくらいですね」と、どこか寂しさをにじませます。
ところが…

宣伝をせずとも、次々に訪れる参拝客。「花まつり」の甘茶を配り、準備していた手土産の花を渡す姿は、寂しさを感じさせる言葉とは裏腹に、とても世話しなさそう(笑)。訪れる人をこれほどまでに歓迎するお寺も珍しく、その温かさが地域の人々を引き寄せるのかもしれません。
地域の歴史にも精通する吉田住職との対話は、話題が広がり続け、2時間を超えても時間が足りないと感じたほど。この場所の居心地が特別だったのもありますね。

4月上旬、門前の桜や境内の枝垂れ桜が美しく咲く『常光寺』ですが、「夏が一番良い時期です」と語る吉田住職。カヤの青々とした緑が、境内に爽やかな空気をもたらすのだそうです。
「藤沢本町駅」からお寺への道中(徒歩7~8分)には、『Café 凛(カフェりん)』『JACOMO’S a Bakery(ジャコモズアベーカリー)』『甘味・喫茶 だんけ』など、個性的な店舗が並んでいます。新緑の季節に、ぜひ一度参拝に訪れてみてはいかがでしょうか。御朱印も発行していますよ。
基本情報
『常光寺(じょうこうじ)』
住所:藤沢市本町4丁目5−21
電話:0466-22-2266
駐車場:有り
取材・撮影・校正協力 常光寺住職 吉田様
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ころんころ
神奈川県を中心に活動するライター。
「読まずにいられない記事タイトル」を信条に、地域の魅力や出来事を伝える。
2021年~2026年まで Yahoo!ニュース エキスパート 地域クリエイターとして活動。
2024年には ベストエキスパート2024 を受賞。
このほか、昭文社「まっぷるトラベルガイド」をはじめ、複数媒体・紙面で執筆。現在は「湘南経済新聞」などで執筆する。
元証券会社人事部出身。
年金アドバイザー資格(最上位2級)を持ち、キャリアや生活に関するテーマにも強みを持つ。