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神奈川県 -横浜市

【横浜市】の歴史を語る上で欠かせない“美しい博物館”のようなクラシックホテル「ホテルニューグランド」

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佐原ねお
ホテルニューグランド本館1階「コーヒーハウス ザ・カフェ」で提供される「スパゲッティ ナポリタン」(2,340円)。写真は粉チーズをかけた状態です。

数々の著名人に愛され、時に映画やドラマ、MVのロケ地ともなってきた、まさに世代を超えた“横浜の憧れ”とも言える山下公園向かいの「ホテルニューグランド」。

横浜発祥といわれる「スパゲッティ ナポリタン」「シーフードドリア」「プリン・ア・ラ・モード」を最初に考案し発信したことでも知られるところ。今回はそんなホテルニューグランドの歴史に触れ、異国情緒あふれる世界観に没入できるプランなどをご紹介していきます。

横浜の歴史を紡ぐミュージアムのようなホテル

ホテルニューグランドの中庭。噴水はイタリアから取り寄せられたヨーロッパ調の風情が漂います。

取材にご対応いただいたのは広報の横山ひとみさん。今年の夏に「ぜひホテルニューグランドを紹介させて欲しい」と強く感じたエピソードがあり、今回は館内を案内していただきながら、ホテルのとっておきプランを紹介していただくことになりました。

プランとエピソードについてはまた後ほど紹介させてもらいます。

ホテルニューグランド タワー館1階フロント。その奥にはラウンジがあり、庭園を眺めながら過ごせます。

ホテルニューグランドには、横浜市認定歴史的建造物・近代化産業遺産である本館と、1991(平成3)年に建てられたタワー館があり、それぞれ繋がり合っています。そのためタワー館フロントを一歩進むとそこはもう本館。

タワー館フロントに近い通路では、横浜の歴史と並行してホテルニューグランドの歴史が紹介されているコーナーがあります。横浜のなかでは一番歴史が深い、ホテルニューグランドならではのスポット。

開業時 本館ジオラマ。100分の1サイズだそう。

かつて「横浜村」であった時代から、開港して世界的な貿易港にまで発展した横浜。関東大震災の復興のシンボルとして開業したホテルニューグランドは、官民一体となって創建されました。

昔使われていたホテルのパンフレットも展示されています。

今年の12月で98歳になるというホテルニューグランドは、戦時中も華やかな時期も知っている、いわば近代横浜の歴史を見続けてきたと言えるのではないでしょうか。

時計の上部分は一見絵画のように見えますが、シルクの織物。極楽浄土へ誘う天女たちが雅楽を奏でるデザインは、おもてなしの心が織り込まれています。(川島織物「天女奏楽之図」)

こちらは建設当時の雰囲気を窺わせる、大階段と大時計があまりに有名な本館ザ・ロビー。宴会場に予定がない時は、階段をあがって少し見学することも可能です。

重要文化財の氷川丸や山下公園を見下ろす大きな窓は、ところどころ開業当時のガラスが使われているところも。

5メートルほどの天井高で格式を感じるロビー。横山さんが形容する「西洋と東洋の空間美」という言葉が申し分ありません。

冬が近づくと一面黄色に色づくイチョウ並木の向こうに広がるのは、関東大震災のガレキで埋め立てられてつくられた山下公園。ホテルが開業するずっと昔は海が広がっていたのだとか。

本館2階ザ・ロビー奥側(画像提供:ホテルニューグランド)

第二次大戦後に接収され、米軍の居住地域となっていたこともある山下公園。歴史を知ると季節の花々に彩られる美しい公園の風景も、だいぶ見方が変わってきます。

ところどころ和や西洋、オリエンタルの要素が入った見どころの多い本館2階ザ・ロビー

ロビーでは横山さんの臨場感あふれる案内をきいて、その伝統と歴史の深さに陶酔。「ホテルニューグランド」を取材するならもっと勉強してからと思っていましたが、むしろもっと早く来ればよかったです。

言われるまで気づきませんでしたが、伽藍の吊り灯籠を模した照明には麻の葉文様の和紙が使われていました。下から見上げると家紋のようにも見える“和”を感じさせるデザインです。

ホテルの魅力を紹介しきれないのが残念なので、ロビーについてはぜひまた別の機会でご紹介できればと思います。

発祥の地だからこそ味わえる感動

実はかねてから“やりたいことリスト”の中に、「いつかホテルニューグランド発祥の料理を食べる」とメモをしていた筆者。今回、取材ということでホテル発祥のスパゲッティ ナポリタンを試食させていただくことに。

本館1階「コーヒーハウス ザ・カフェ」店内。ペーパーナプキンに描かれているホテルニューグランドロゴはフェニックス(不死鳥)。ホテルが関東大震災の復興のシンボルとして誕生したため描かれています。門扉デザインには、世界中からお客さまを受け入れる、世界へ目を向けているという意味が込められているのだとか。

ホテル発祥の「スパゲッティ ナポリタン」「シーフードドリア」「プリン・ア・ラ・モード」のどれを選ぶか非常に迷ったのですが、今回はナポリタンを選択。本館1階「コーヒーハウス ザ・カフェ」へ移動します。

本館中庭では、ブルーとホワイトの光の演出「Aqua Bloom(アクアブルーム)」が毎日19:00/19:30/20:00の計3回、各回約 3 分間点灯されています。

昔はプールだった時もある中庭沿いの通路には、ホテルを愛した著名人たちの紹介やフォトギャラリーがあり、中庭を訪れる人はぜひこちらもご覧になってほしいです。

ナポリタンと言うとケチャップを使うイメージが大きいですが、ホテルニューグランドで初代総料理長サリー・ワイル氏に師事した入江茂忠氏が考案したのは、生と水煮のトマト、トマトペーストを使ったナポリタン。

本館1階「コーヒーハウス ザ・カフェ」入口付近にメニューについての歴史が紹介されているコーナーがあるので、そちらもお見逃しなく。

ホテルニューグランドでナポリタンを食べるのは初めてだと伝えると、「想像されているのとだいぶ違うと思いますよ」と、笑顔でおっしゃる横山さん。

「ぜひパスタの麺自体にも注目してください」とおっしゃる理由が、本来日本人が好きなモチモチ食感を出すために、前日に茹でおきをしているこだわりがあるのだとか。

ホテル発祥メニューが食べられる本館1階「コーヒーハウス ザ・カフェ」。イチョウ並木や山下公園の風景が見える景色もあります。

日本で「アルデンテ」という概念が広まったのは、イタリア料理が人気となった頃から。ナポリタンが発案されたのはその前なので、その当時の嗜好も今に残している様子。

「スパゲッティ ナポリタン」。当初は具もなかったそうなのですが、その後マッシュルームとロースハムが入れられるようになりました。

実際口にしてみると、確かに思い描いていたナポリタンとはだいぶ違います。味が強くないのにしっかり味わい深く、こんな高級感のあるナポリタンは今まで経験したことがありません。「これはナポリタンというより、トマト料理」と感じたほど、トマトを感じさせる品。

なにより、当初を思わせる料理を、発祥の地であるホテルニューグランドで食べられるという感動がたまらないです。

粉チーズをかけた状態の「スパゲッティ ナポリタン」。

「これが発祥となったナポリタンの味だということを、ぜひ両親や家族に伝えたい」と思えたほど。

帰り際ホテルのほど近くにあるショップ「S.Weil by HOTEL NEW GRAND」で、迷わずレトルトナポリタンソースを3箱購入していきました。ただ、横浜市民の方ならぜひ最初はホテルで味わってほしいのが本望です。

「S.Weil by HOTEL NEW GRAND」で販売されているレトルトナポリタンソース648円/個。

“人”がなしえる伝統と魅力

3期ニューグランドマイスター(画像提供:ホテルニューグランド)

実は今回、ホテルニューグランドで、特別な館内ツアーが付いたプランを紹介していただきました。それが「ニューグランドマイスターによる館内ツアー付きプラン」。

今回取材で紹介していただいたような案内だけでなく、普段では入ることができないような空間にも案内してもらえます。

宿泊プランにはプロカメラマンによる記念写真撮影付きプランもあり、その時の館内状況により撮影場所が相談できるそうで、大階段を選ぶこともできるとのこと。

“ニューグランドマイスター”とは、ホテルの歴史や魅力などの筆記試験・実技試験を経て認められた特別なスタッフ。取材時点では21名ほどが合格しているとのこと。

ホテルのコンシェルジュは全員マイスターですが、簡単に合格できるような内容ではありません。

“おもてなし”の意味も込められたフルーツバスケットがオブジェになっています。手すりのタイルはオーダーメイドのイタリア製。1枚ずつが湾曲や風味も違うというこだわりぶり。

そんな“ニューグランドマイスター”の館内ツアー付きプランは、宿泊・食事・宴会の3種類あり、宿泊プランではシーフードドリアとスパゲッティ ナポリタンを含んだメニューが特別ルームサービスとして提供されるというのも魅力的。

宿泊プランでのシーフードドリア・スパゲッティ ナポリタンを含むセットメニュー(画像提供:ホテルニューグランド)

特に横浜に縁がある人におすすめなプラン。たとえばご両親の退職・長寿のお祝いなどにプレゼントとして招待するのもいいのではないでしょうか。

本館ロビーに置かれる横浜家具の“キングスチェア”。手すりに勝利の女神“ニケ”が彫り込まれており、「やさしくなでると幸運が訪れる」という言い伝えが自然に広まっていったそうです。ぜひ幸せになってもらいたい人を連れて、触れて欲しいもの。

最後に、今回ホテルニューグランドを紹介させてもらうことになった経緯につきまして、少し紹介させてもらえればと思います。

実は2025年7月に山下公園で七夕祭りがあった際、想定外の大混雑で同行者と離れ離れになったまま、数時間ほど電話・電波が繋がらないということがありました。

人であふれるホテルニューグランドのフロントで、コンシェルジュの方に助けを求め、お電話を借り、無事に合流することができたということがあったのです。

普段より忙しい状況の中でも、「さすが」と言えるほど丁寧な対応で、ちょっとした感動すら覚えました。

帰り際にお礼をお伝えしたものの、その時ホテルを利用することもできず、後日に「ぜひ記事でホテルを紹介させてもらえないか」と相談させていただいたのです。

七夕祭りに訪れた時は大混雑だったタワー館入口。左奥が本館です。

ホテルニューグランドの魅力の基本は、建物・食・人。でもなにより「ホテルは人がつくっている」と語る横山さんの一言が印象的。人の心に響く建物、人が繋いだ食のストーリーなどが伝統となっているホテルニューグランド。スタッフが魅力的でなければ語られる歴史もなかったかもしれません。

ホテルスタッフは横山さんはじめ、筆者がお世話になったコンシェルジュも、わりと親近感があり、自然と接する人に寄り添って話ができる方々。伝統的なクラシックホテルでありながら、敷居の高さを感じさせないところが魅力のひとつでもあります。

今回の取材で最も博物館のようだと感じた中庭近くのコーナー。タイプライターは過去に使われていたもの。

筆者としてもずっと憧れだったホテルニューグランド。自分の記事の中で、自分の言葉で紹介させていただく機会をいただき、大変感謝しております。

ホテルニューグランドは、2027年12月に開業100周年を迎えます。

歴史ある博物館のようであり、絵画の中に入り込んだような美術館の要素も持つホテルで、洗練されたおもてなしの心と横浜の歴史に触れてみてはいかがでしょうか。

ホテルニューグランド

公式サイト:ホテルニューグランド

アクセス:横浜高速鉄道みなとみらい線「元町・中華街駅」1番出口より徒歩1分

住所:神奈川県横浜市中区山下町10番地

電話番号:045-681-1841(代)

Instagram:hotelnewgrand

X: hotelnewgrand_

コーヒーハウス ザ・カフェ

公式サイト:コーヒーハウス ザ・カフェ

本館1階

電話番号:045-681-1841

「ニューグランドマイスター」による館内ツアー付きプラン

宿泊プラン・食事プラン・宴会プランの詳細は以下をご覧ください。

プラン紹介ページ:「ニューグランドマイスター」による館内ツアー付きプラン

※料金などは2025年9月取材時の内容です。

この記事を書いた人

佐原ねお
「横浜市」の街で出会った誰かの想いと感動を、拾い集めています

佐原ねお

Website: https://holidaytalk.net/

毎日を旅するように生活することを意識し、地域ならではの魅力を探索しています。歴史あるスポット巡りに興味がある一方、流行りモノにも目がありません。

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