【富田林市】スイセンの花の季節♪錦織公園、梅の里に咲きそろう水仙は、いよいよ見ごろを迎えました
WRITTEN BY 奥河内から情報発信
豊かな海に囲まれた泉州の地で、名産品として愛されてきた鱧(ハモ)。
鱧は、「骨切り」が必要なほど骨が多い魚ですが、その骨や頭からは極上の出汁が取れる一方で、膨大な量ゆえに、その価値を活かしきれない課題がありました。
そんな骨に光を当てたのが、6次産業化を通じて泉州の生産者たちを支える「浜のおばちゃん家(や)」代表・勝浦 真里子さんです。
地域の食を守り続けてきた彼女の情熱が、鱧の骨を「新たな名産品」として生まれ変わらせました。
浜のおばちゃん家の6次産業とは
漁師さんが獲ってきた魚や、農家さんが育てた野菜(1次)を、地域で加工し(2次)、自分たちで直接お客さんに届ける(3次)。この1×2×3のすべてを地域でつなぐ取り組みです。
わたしが「浜のおばちゃん家」を知ったのは、一昨年の11月のことでした。
岬町淡輪の、倉庫のような場所で金曜日だけ開かれる温かなマルシェ。

「浜のおばちゃん家って、一体どんな家族なんだろう?」
そんな親近感の湧く名前に惹かれ、それ以来、その活動を静かに見守っています。
「浜のおばちゃん家」は、泉州の漁師さんや農家さんと連携し、地元の“もったいない”を宝に変える、「6次産業化」に取り組むグループです。
活動のきっかけは8年前、勝浦さんが目にした漁師さんの厳しい現状でした。
市場で値がつかない未利用魚や、大漁でも傷があるだけで捨てられてしまう魚たち。
そんな「消えてしまうはずの地域の恵み」を救いたいという想いから、すべてははじまりました。
元々トールペイントなどのものづくりに親しみ、調理師免許も持っていた勝浦さん。
その豊かな想像力と確かな技術が、捨てられるはずだった素材の可能性を掘り起こします。
「名の知れない魚も、揚げて砂糖醤油に浸せば、立派な一品になる」
「傷のある魚も、その日のうちに加工すれば、価値は広がる」
主婦ならではの知恵と創り手としてのひらめきを武器に、道の駅での干物販売から一歩を踏み出しました。
その後、その工夫は干物だけにとどまらず、泉州名産の鱧や地元の旬野菜をふんだんに使ったお弁当、さらに「茎わかめの佃煮」といった、素材を隅々まで使い切る滋味豊かなお惣菜へと広がっていきます。



現在は、その志に賛同した約10名の主婦たちが知恵を出し合い、拠点を移しながらも「岬町健康ふれあいセンターピアッツァ5」や「阪南市商工会匠のippin」、さらには地域のイベントなどを通じて、変わらぬ滋味豊かな味を届け続けています。
「浜のおばちゃん家」出店情報
・岬町健康ふれあいセンターピアッツァ5
開催日:毎週木曜日
時間: 11:30~
・阪南市商工会匠のippin
開催日:毎週木曜日
時間:11:30~
“もったいない”が、価値ある商品へ生まれ変わることは、捨てられる資源に光を当てるだけでなく、生産者の収入向上にも繋がっています。
「浜のおばちゃん家」では、規格外や加工が大変な部位も適正価格で買取り、生産者の「命を無駄にしない誇り」を支えています。
「浜のおばちゃん家」がひとたび出店すれば、その優しい値段と手作りの温かさに、たちまち人が集まります。




また、地域のイベントでは、「鱧の唐揚げ」を待つ注文票の付箋でいっぱいになるほど、その美味しさは折り紙つきです。
わたしも以前、北庄司酒造店さんのイベントや岬町の道の駅でいただきましたが、しっかりと味つけされたカリカリの衣と、ほわほわで真っ白な鱧の身を、ハフハフしながら味わう時間は、至福のひと時でした。
ちなみに、現在「道の駅みさき 夢灯台」では、勝浦さんの息子さんが土・日・月限定で、「浜のおばちゃん家」の味を届けています。

地域の名産品でありながら、高級魚ゆえにどこか遠い存在だった鱧。
それを“地元の味”として、誰もが身近に親しめる環境を用意してくださる「浜のおばちゃん家」の活動に、頭が下がる思いです。
そんな「浜のおばちゃんパワー」がじわじわと地域に浸透していくなかで、この活動が持つ本当の意味が、多くの人にしっかりと伝わりはじめています。




ところでみなさんは、鱧が高級魚とされる理由をご存知でしょうか。
世間一般では、「希少性」が理由だと思われがちですが、実はその価格の多くは、複雑な小骨を処理する技術料や、伝統的なブランド価値によるものです。
ここ泉州は古くから、京都の祇園祭や大阪の天神祭に欠かせない鱧を供給してきた歴史ある産地です。その美味しさは広く知られていながら、高級ゆえに日常で味わう機会はそう多くはありませんでした。また、旨味が凝縮された中骨の活用など、その真価を余すことなく享受できる場も、これまで限られていたのが実情です。

近くてどこか遠い存在だった鱧を、いかに身近で健康的なものとして届けるかー。
そんな地域の課題に向き合い、試行錯誤の末に生まれたのが「鱧のふりかけ」です。
勝浦さんは、鱧の中骨を独自の製法でフレーク状に加工し、ひじきやゴマを合わせることで、誰もが手軽に味わえる栄養満点の一品に仕上げました。
この商品づくりにおいて大きな支えとなっているのが、全国的にもめずらしい「鱧専用の加工工場」の存在。阪南市を拠点とする「のぞみ水産」では、高度な技術を要する鱧の骨切りを、専用の機械を用いて素早く丁寧におこなっています。
“獲れる場所のすぐ近くで、新鮮なうちに加工する”。
この産地ならではの恵まれた環境こそが、素材の良さを最大限に引き出す「浜のおばちゃん家」の大きな強みとなっています。

取材日はあいにく鱧の閑散期にあたり、実際の加工工程を直接目にすることは叶いませんでしたが、冷凍庫で出番を待つ新鮮な鱧や、美味しいけれど流通が難しく表舞台にはなかなか登場しないガンゾウビラメの加工、そして「浜のおばちゃん家」の人気商品「ハモの箱寿司」が丁寧に仕上げられていく調理風景に立ち会うことができました。




閑散期ゆえの静かな工場でしたが、「浜のおばちゃん家」の6次産業を支えるこの工場の存在が、鱧をより身近で食べやすい一品へと生まれ変わらせていることを知りました。
そして、これまで活用しきれなかった「中骨」も、ふりかけに生まれ変わり商品化されました。


産地の想いと技術が詰まった「骨まるごと はもひじき ふりかけ」は、泉州の新たな名産品として、お土産にも最適な一品です。
高級魚として知られる鱧も、ふりかけなら毎日の食卓でも気軽に楽しむことができます。


温かいごはんに振りかけると、鱧の上品な香りがふわっと立ち上ります。口に運べば広がる、香ばしさとやさしい甘味。まさに最高のごはんのお供です!
独自の技術でフレーク状に仕上げた鱧の骨は、ひじきやゴマの一粒ひとつぶにしっかりと馴染み、どこか懐かしい「おばあちゃんの味」を思い出させてくれます。
「粉にするまでが、とにかく大変だった」
そう振り返る勝浦さんが直面したのは、鱧特有の「独特の臭み」をどう消すかという課題でした。そんな試行錯誤の中で出会ったのが、天然ミネラル水です。
この水が臭み消しの大きな助けとなり、さらに薬剤師の先生からもその栄養価や素材の良さに太鼓判を押してもらったことが、開発をカタチにする大きな後押しとなりました。
地域を想う勝浦さんの挑戦に、確かな知見と人の輪が重なり、高級魚の鱧をより身近な存在へと進化させたのです。
この「骨まるごと はもひじき ふりかけ」の開発秘話は、ぜひアメブロでご覧ください。ひとりの女性が地域のために立ち上がった物語は、みなさんの心にも温かく響くはずです。
【開発ストーリーはこちらから】
鱧の骨に”新たな命”が宿った日。天元先生と作った「鱧骨ふりかけ」開発秘話!(外部リンク)
こうした想いが一歩ずつ形になり、いよいよ「浜のおばちゃん家」は実店舗のオープンへと漕ぎ出します。
次なる挑戦の舞台は、大阪の南端。
2つの海水浴場に隣接する、潮風が心地よい「せんなん里海公園」です。

この春、勝浦さんがプロデュースする食育レストラン「浜Natsuむすひ」が、いよいよ始動します。
6月のグランドオープンに先駆け、まずは地域のみなさんと一緒にこの場所を温めていきたいという想いから、一足早く「ごはん教室」や「食育講座」がスタート。
「浜Natsuむすひ」では、地元の魚や野菜を使った料理を提供するだけでなく、日常の中で「食べながら学べる場所」を目指しています。
長年、地元の漁師さんや農家さんと共に積み重ねてきた「浜のおばちゃん家」の活動が、ようやく実店舗という一つの形になり、地域に新たな循環を生み出そうとしています。
レストランの最新情報やイベントのご案内は、「浜のおばちゃん家」公式Instagram(外部リンク)にて順次発信される予定です。
「浜のおばちゃん家」の活動がもたらした、一番の変化。
それは、地域に「会話と誇り」が生まれたことだと勝浦さんは話します。
かつては捨てていた端材を、漁師さんが「これ、おばちゃんとこで何かにできるか?」と進んで届けてくれるようになったり、シェアキッチンに集まる女性たちが「自分たちの手仕事が町を元気にする」という生きがいを実感したり。
浜のおばちゃんたちの知恵と情熱が、一皿の料理、一つの居場所となって、地域全体を明るい方向へ動かしはじめています。
この物語の続きは、ぜひ「浜Natsuむすひ」の潮風の中で。
浜のおばちゃんたちが手渡してくれる「食と笑顔」のバトンが、この街にどんな波紋を広げていくのか、とても楽しみです。
地域を愛する手仕事が紡ぐ、循環の物語。
その行く末を、これからもそっと、大切に見守り続けたいと思います。
【基本情報】
「浜のおばちゃん家」
公式ホームページ(外部リンク)
公式Instagram(外部リンク)
取材協力 「浜のおばちゃん家」 代表
勝浦 真里子 様 阪南市尾崎漁業組合地域協議会崔 志朗 様
*記事内容は取材当時のものです。
岬町淡輪の金曜マルシェは、2025年9月末をもってs終了しています(画像提供 「浜のおばちゃん家」)岬町淡輪の金曜マルシェは、2025年9月末をもって終了しています(画像提供 「浜のおばちゃん家岬町淡輪の金曜マルシェは、2025年9月末をもって終了しています(画像提供 「浜のおばちゃん家」)
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旅する日々の記憶と記録。matka08
大阪・泉州在住。
7年の広告制作ディレクションを経て、2022年から4年間、Yahoo!ニュースにて地域記事を執筆。
計8回の最優秀記事賞(MVA)を受賞。
2026年春、同メディアの筆を置き、現在はウェブメディア等での執筆を続けながら、自身のマガジン『Blank.』の創刊に向けて、日々奮闘中。
フィルムカメラとノートが相棒。