【富田林市】スイセンの花の季節♪錦織公園、梅の里に咲きそろう水仙は、いよいよ見ごろを迎えました
WRITTEN BY 奥河内から情報発信
絵を描くように、写真を撮るように、言葉以上の想いを花で届ける。
そんな花仕事を生業にしている女性に出逢いました。

岬町淡輪の静かな裏通り。民家の奥に、静寂の帳が下りたような古民家が佇んでいます。
小道を抜けるプロローグが どこか「美しい世界」の入口のようで、物語のはじまりを感じさせてくれます。

陽光に滲みながら輝きを放つ「remplir(ランプリール)」。
高木 麻子さんが営む「美しすぎる花屋」です。
インスタグラムで魅せるその世界観は、生きとし生けるものを慈しむ想いにあふれ、誰もが憧れを抱くような優しい花の彩りで飾られています。
「remplir」公式インスタグラム(外部リンク)


砂が敷き詰められた静粛な空間で、光のフェイスパウダーを纏(まと)い凛とした姿で佇む植物たち。
そのあまりの美しさにため息がこぼれました。
それは、まるで新緑の野山のような活気ある光景で、今にも踊り出しそうな花姿が印象的です。
出合う植物たちは、みずみずしい花びらや天に向かって伸びる枝、豊富に栄養を蓄えた根っこなど、健康的な命の優しさを伝えてくれます。
ここは、都会の喧騒から離れて植物のエネルギーを からだいっぱいに受けとれる場所。入店からわずかな時間でこれだけの想いが届けられました。








高木さんは、ひとつひとつの言葉をゆっくり咀嚼して、吐息のようなトーンで語りかける人。
その穏やかな人となりが、花のセレクションとリンクします。

堺市にあったご実家の庭を改装して花屋を営んでいた高木さんは、結婚を機にこの街に移り住みます。岬町で花屋をするつもりはなかったけれど、やめて半年経った頃、ふとまた小さな花屋をはじめたくなり2018年に「remplir」を開店。
店をはじめるにあたっては、物件探しに苦労するも地域の人たちとの温かい交流によってこの場所を知り、「裏通りで大きさもちょうどいいし、可愛い」と運命の出逢いを果たします。
「わたしは優しさに囲まれています」
花屋歴25年の高木さんは、一度「花屋」をやめて、この街でまた「花屋」になりました。
その日から7年、ゆるやかに花仕事を続けています。

「古い人間だからかな?」と前置きをしたうえで、「花のオーダーはお店にお越しいただくか、お電話でお願いします」と高木さん。
その理由は、声が聴きたいから。
おなじ「赤」でも濃い赤もあれば、明るい赤もある。
声のトーンや雰囲気から好みを想像し、作品を紡いでゆくのだそう。
「贈る人、贈られる人、それぞれの気持ちを想像する」
それが高木さんの花仕事におけるスタンスです。

ふと、カウンターの上の籠花に目がとまりました。

なんて美しいのでしょう。みずみずしい花たちが、それぞれにふさわしい居場所を与えられ、輝きを放っています。ペールトーンの色彩は儚げでありながら、逆境に立ち向かう強い意志のようなものを感じます。
「どのような目的でオーダーをいただいたお花ですか?」と尋ねると、意外な答えが返ってきました。
「お供えの花なんです」
“お供えの花”と聞いて、その華やかさにとても驚きました。聞くところによると、高木さんはお母様を亡くされてから、“お供えの花”に対する考え方が変わったそう。
“お供えの花”とは、故人を偲び、敬意や感謝の気持ちを表すために供えられるものですが、寄り添っている人への想いも投影するようになったとのこと。
この花が、ただ儚げなだけでなく、明日への希望を感じさせてくれたのは、そのような理由からでした。
高木さんは、”花を見た時に感じる感情”を一番大切にしている。
その花仕事に魅了される人たちからのオーダーが後を絶ちません。

数ある植物の中で、特に印象的だったのが “根っこごと” 生けられた植物たちです。

このスズランなど、命をまるごと魅せてくれているようで、とても愛おしい。
その理由を尋ねると、「根っこは命の源で、見えない部分の大切さを教えてくれます」と根っこ愛たっぷりの深イイ話を聞くことができました。
ほかにも、春を待ちわびるヒヤシンスの球根やうねうねと逞しく天井まで伸びる枝ものなど、自然の息吹と生命の尊さを伝えてくれる植物たちの姿がみられます。これらの植物は、手に取って対話することもできるので「うちに来る?」と問いかけてみても良さそうです。


店の奥には、お花の講習会やイベントで使用する板の間のスペースがあり、わたしにはそこが、”日々の美しい余白”のように感じられました。

「精神状態が作品に影響する」と話す高木さんは、時に深い時間まで店の中で花と向き合うこともあるそうです。好きな音楽のリズムにあわせてゆるやかに心の澱(おり)を溶かし出す時間。
このスペースは、そんな日々に美しい余白を与えてくれているようで、創り手である高木さんの心を支える“「remplir」の心臓部”のようにも思えました。
高木さんは、素敵なイベントも主催しています。


「ランプリールの初手水」
2025年5月17日(土)・18日(日)
11時~17時
開催場所 「remplir」「kokuu_esalen」「ひろしげ珈琲倶楽部」のお庭
身体に優しい焼き菓子や真鍮アクセサリー、無農薬野菜のお弁当など、センスあふれるお店が海の街 岬町に集結します。
年に一度だけ開催される素敵なイベントです。すこし先になりますが、3月にはインスタグラムで発表がありますので心待ちにしていてくださいね。
最後にこんな質問をしてみました。
―高木さんにとって「花」とは?
「わたしは自分の気持ちをうまく伝えたりすることが苦手なんです。
8年間、美容師をしていたのですが、接客もあまり得意ではありませんでした。
わたしにとって『花』とは、自分の言葉以上の想いを届けてくれるものです。
お客様もいろいろな想いがあると思うので、それをぜひ聴かせていただきたいです」
日常に彩りを添えられるような花を届けていきたい、とも話してくれました。

彼女にとって「花」は、単なる美しいオブジェクトではなく、人に生きる勇気と希望を与えるもの。「remplir」はフランス語で“感情を満たす”などの意があり、店名にもその想いは込められています。この店に出逢い、新しい植物との関わり方を知りました。
そして、うちに来た子たちもとても元気です。




厳しい冬を耐え忍んだ植物たちが、ようやく芽吹きはじめました。
この生命と共に、春を待ちわびたいと思います。


【基本情報】
店名:「remplir」
公式インスタグラム(外部リンク)
住所:大阪府泉南郡岬町淡輪1478-3(Googleマップ参照)
Tel:072-479-8004
営業時間:11:00~17:00
定休日:(2月のお休み) 毎週 火・水・木曜/不定休(インスタグラムでお知らせ)
駐車場:2台
取材協力 「remplir」店主 高木 麻子 様
「remplir」さまのご厚意により、撮影用の植物を無償でご提供いただきました。本記事制作にあたっては、ガイドラインに基づき公平中立に制作しています。
*ご注文、お問い合わせは、お電話or店頭にてお願いいたします。
*記事内容は取材当時のものです。
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旅する日々の記憶と記録。matka08
大阪・泉州在住。
7年の広告制作ディレクションを経て、2022年から4年間、Yahoo!ニュースにて地域記事を執筆。
計8回の最優秀記事賞(MVA)を受賞。
2026年春、同メディアの筆を置き、現在はウェブメディア等での執筆を続けながら、自身のマガジン『Blank.』の創刊に向けて、日々奮闘中。
フィルムカメラとノートが相棒。