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大阪府 -河内長野市

【河内長野市】小学3年生全員行くから河内長野の移住者は見ておきたい!世界唯一のつまようじ資料室

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奥河内から情報発信

私は河内長野に住み始めて5年経過しました。消滅可能性自治体と話題になった河内長野市ですが、市の職員の方からの話として、現在、人口が増えている地区も複数あるという意外なデータが出ているそうです。高齢者が多いために、市全体の人口は年々減っているものの、若い人や子どもが増えているということで、空き家もすぐ埋まるという話を伺いました。

(長野神社の戎祭り)

つまり、生まれながら住んでいる人とは別に、新しく住み始めている人が増えているとのこと。知人の中にはある住宅地にあった空き家を手に入れて、DIYをしている人もいます。

(参考:データ上、人口が増えている地区のひとつ荘園町)

さて、そんな生まれながら住んでいる人と新たに住み始めた人との間にはひとつの違いがあります。さらに詳しく言えば、小学校3年生の時に河内長野市内にいるかどうかで大きな経験の差があることを知りました。それは「つまようじ(爪楊枝)」の工場を見学しているかどうかです。

河内長野の地場産業でいちばん有名なのは「つまようじ」です。一時期は国産つまようじの生産量が全国シェアの9割を超えるほどでした。今は正確な数字は明確ではないようですが、それでも河内長野には、日本つまようじ組合があります。昨年11月24日を「いいつまようじの日」という記念日制定が決まった際に、日本つまようじ組合の組合員が集まり、市長への表敬訪問をした時に取材させていただきました。

そして河内長野のつまようじといえば、メディアにも多く出て、社長自身がインフルエンサーにもなっている菊水産業さんが有名です。しかし、もうひとつ忘れていけないのが株式会社広栄社さん。小学校3年生の時、河内長野市内に住んでいると必ず学校から見学に行くという、つまようじの工場が広栄社さんです。そして敷地内につまようじ資料室があります。

つまようじ資料室(外部リンク)をおさらいすると、広栄社さんは日本で一般的に流通している「丸ようじ」ではなく、歯にとっては最適と言われていて、欧米など海外では主流である「三角ようじ」を普及させたいとの思いがありました。さらに河内長野の地場産業を復権させたということで、1990年につまようじ資料室を設置しました。これは世界唯一の施設です。

(つまようじ資料室は事前予約制です)

私は、以前からとても気になっていたつまようじ資料室に、いつか取材をしたいと考えていました。そして、ついに先日その機会が巡ってきました。

というわけで、小学校3年生の時に河内長野にいなかった人にとっては新鮮、逆に小学3年生の時に住んでいて実際に見学した人が「懐かしい」と感じられるであろう、つまようじ資料館を取材してきました。

こちらは、つまようじ資料室を案内してくださる広栄社の3代目社長で、現在は取締役会長の稲葉修さんです。2012(平成24)年からは、4代目さんが社長に就任されました。ちなみに稲葉さん自身も小学校3年の時に、広栄社のつまようじの工場見学を他の児童と一緒に見学したそうです。

最初に、昔のつまようじ工場の写真を見学しました。つまようじに使う木材は最初に貯木プールに入れるそうです。

こちらは丸鋸(のこ)と上部ベルトで木材を切っていくわけです。

こちらは剥き工程とあります。今となっては貴重なパネルの数々ですね。

いいつまようじの日の取材時にも触れていますが、広栄社さんの前身は三重県鈴鹿市の「関勢社」さんでした。河内長野が大阪に近い(流通力がある)こともあって、後に河内長野市内に広栄社を設立することになります。そして機械を使った平楊枝の大量生産が始まり、国産つまようじの生産が河内長野の地場産業に発展していきました。

稲葉さんの話では、日本で主流のつまようじ(丸ようじ)は本来、歯の間に挟まったゴミを取るというより、フルーツなどを挿すためのものだといいます。

そして丸ようじは力が入ってもつぶれにくく硬いので、人の歯や歯茎にダメージを与える恐れがあるため、歯の掃除用には適していないといいます。本来はこの三角ようじのように簡単に折れるつまようじが歯の負担を軽減できるとのこと。

こちらは赤富士を描いたものですが、

なんとつまようじで描かれています!

こちらの首里城の写真も同様につまようじで描かれたものです。

こちらもつまようじアートですが、

つまようじが浮き彫りになって文字を表現しています。

稲葉さんによれば、学校などで作られたつまようじアートが広栄社さんに寄贈されてくるそうです。

ログハウスです。よく、「ログハウスで使う丸太(ログ)が大きなつまようじ」と、評している人がいますが、これは本当につまようじで作られたハウス。目の前の木もつまようじです。

そしてお城です。天守閣を再現していますが、石垣を含めてすべてつまようじ。凄いとしか言いようがありません。こういうのを見ていると、もうこれは完全に「つまようじミュージアム(博物館)」ですね。実際につまようじ資料室は、2009年に「大阪ミュージアム」の登録物として認定されています。

大正時代につまようじを生産していたという機械。見る価値が高いです。

ただ機械や部品が置いているだけでなく、実際にどういう工程で使われているものかを写真パネル付きで紹介しています。そして稲葉さんが解説してくださるので、とてもよくわかります。

木材をスライスしたものです。この板状になっているものをさらに細長くカットしていくわけですね。

先ほどの板をカットした状態。細長い木の棒が複数できています。

最終的にはこの棒をつまようじの長さに切っていくということですが、見た目だけだと焼鳥などを挿す串を作る時にも使えそうですね。

そしてこの状態でまとめられています。

こちらの機械には説明があります。1924(大正13)年に広栄社創業者の稲葉由太郎さんが輸入した機械の部品で、丸いようじを作るのが目的だったそうです。

つまようじを作るための機械も、自社で作っていたという広栄社さん。

三角つまようじは、日本ではなぜかなじみが薄いので、海外に輸出しているそうです。

実はここまでは会社の敷地内ではありましたが、つまようじ資料室の外でした。ようやくつまようじ資料室の中に入ります。

ここは世界中のつまようじなどを展示しています。

つまようじは、日本や中国など箸を使うアジア圏の国が使う印象をついつい持ってしまいます。しかし、口の中の掃除は世界中の人間が共通で考えること。世界中の人達がつまようじを使っています。ここではイタリアのつまようじが紹介されていました。

そして、広栄社さんはつまようじメーカーですが、もっと幅広く口の中全体のケアを意識した商品を作っています。

こちらは、歯木(しぼく/しもく)です。これは噛むことで、木の中の薬効が歯に入ることで、歯磨きのような役目がありました。仏教の祖・釈迦が菩提樹の小枝を噛みながら歯を磨いたというエピソードに基づくものです。

歯木は薬効のある木の枝で、具体的にはヤナギの木やインド原産のニームの木です。

歯木の先端を房状にして口の中を洗浄し、口臭や歯周病の予防に備えたそうです。

こちらは中東シリアの「歯木」です。アラビアの語のパッケージが見えます。

歯木の下にはアメリカ製やマレーシア製の製品が見えます。

こちらは歯木の抽出液を使って練り歯磨きを作って製品化しているものです。

別のショーケースを見ると、つまようじ関係商品がずらりと並んでいます。

イギリスの文字が見えますね。

広栄社さんは「輸出用つまようじ」を製造し、日本の外にも積極的に売り込んでいます。

稲葉さんは歯科模型を使って説明してくれます。三角ようじは歯の隙間にピタリとはまるので、歯茎や歯への影響がほとんどなく掃除できるそうです。歯科医さんもそのように言われているとのこと。

つまようじ以外の製品が並んでいます。広栄社さんはあくまで口の中全体のケアを考えているので、つまようじ以外の製品も扱っています。

こちらの製品は舌を掃除するためのものです。

他にも、奥歯専用の歯ブラシを紹介してくださいました。広栄社さんは歯科医などの医療関係者の方と共同で商品開発に取り組んだり、稲葉さんご自身も歯のケアに関する論文を書いたりもされているそうです。

右下の羽毛のように見えるのは日本の漁業関係者の間で使われているという、まぐろの尾びれでできた楊枝です。

こちらかんざしの様にも言えますが、中国・清の時代の飾り楊枝とのこと。今のつまようじは、基本的に使い捨てですが、昔の楊枝は使い捨てではなく、洗って使っていたようです。

ほかにも、普段お目にかかれない美術品のようなつまようじが並んでいます。

こちらは歯をはじめ、口の中をケアすることで、歯が健康で長生きすることを紹介した新聞記事です。

こちらは厳島神社の5色楊枝を額に飾っています。

他にも紹介しきれないほど、世界中からの珍しい陳列物が並んでいました。つまようじ資料室(外部リンク)はネット上からでも見ることができます。そして、世界中から訪問客が来るそうです。

以上で、つまようじ資料室をご紹介しました。小学校3年生の時に河内長野にいた人にとっては懐かしいものだったかもしれませんし、逆に他の地域から河内長野に移住してきた人には新鮮かもしません。行ったことのない人は一度は訪れてほしい、河内長野の地場産業「つまようじ」を取り上げた世界唯一の資料館です。

最後に稲葉さんの歯を見せていただきました。入れ歯をしていないご自身の歯で、とてもきれいでした。口の中のスペシャリストでもある稲葉さんは、自らの歯のケアを行うことで健康を保てるということを身をもって体現されていました。

つまようじ資料室

住所:大阪府河内長野市上原町885(株)広栄社内
TEL:0721-52-2901(事前予約制)
開館日:毎週土曜日(祝日、年末年始、ゴールデンウィーク中は休み)
開館時間:AM10:00~12:00、13:00~16:00(15:00までに入室)
アクセス:長野車庫バス停下車徒歩3分、上原口バス停下車徒歩6分

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この記事を書いた人

奥河内から情報発信
奥河内・南河内地域文筆家

奥河内から情報発信

Website: https://www.okukawachi.biz/

大阪府河内長野市は別名「奥河内」と呼ばれ、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結しているので、新興住宅団地が多数造成され、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。
ライター歴は10年超で、主に大阪市内で執筆活動をしていましたが、
5年前の2021年1月に縁もゆかりもない河内長野に引っ越しました。
2021年9月16日よりご縁がありYahoo!ニュースエキスパートの地域担当となり、移住して半年余りながら「よそ者」の視点で、長く住んでいる人が気づかないことを含め南河内地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を発信。
そして文章の力で「まち」が元気になる記事を提供することを心掛け、終了日である2026年3月31日まで1日も休むことなく、計1658本の記事を執筆しました。
Yahoo!ニュースエキスパート終了が決定したことを受け、2026年1月からは独自で公式サイト「南河内ニュース」を立ち上げました。
引き続き現地の情報発信を行っています。

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