狐の嫁取り!時空をこえて出現、花嫁と提灯行列が街をそぞろ歩いた日【神戸市】
WRITTEN BY Hinata J.Yoshioka
食事をする際に美味しいことは大切ですが、それだけでなく健康的でもある、そんな料理があったら嬉しいですよね。
予防医学という言葉を聞いたことがあるでしょうか。日本では病気になってからのことを重要視してしまいがちですが、そうではなく病気にならないよう未然に防ぐことに意識を向けるという考え方です。
それが食事でも可能なのだということで、元町にある老舗の中華料理屋さんで人気と噂の「薬膳料理」を体験してみることに。

お店のおすすめメニュー「薬膳セット」。この日もほとんどのお客さんがオーダーしたと伺いました。
体が冷えている人や、女性特有の悩み事などにぴったりの「当帰」が入った薬膳スープ。ちなみに男性には「清補涼湯」スープもあります。液体なのでスッと体に浸透していき、お店を出る頃には既に顔や表情に変化が見られるぐらいなのだとか。

私も頂いたのですが、飲み始めてすぐに体が温まりはじめ、最後には汗が流れるほどに。もちろん人によって反応の大きさは違うかと思いますが、その現れ方に驚きました。
「いつも不思議なのだけど、きっと体に足りなかったものが補われて元の状態に戻っていったんだなと思いながら、帰っていくお客さんの姿を見ています」と、二代目現オーナーの李順華さんは話します。
「薬膳のスープは特にだけど、直火で沸かすと100度を越えてしまい栄養素が消えてしまうから、蒸し器の中で低めの温度でじわじわ2〜3時間ほど温めて素材のエキスを抽出しています」

「豚骨や鶏ガラの出汁はいつもラーメン用などに準備しているのですが、そこに干し牡蠣や干し貝柱、干しアワビを入れて出汁に香り付けをして透明なスープを作ったものに、薬膳の素材を足して長時間かけて蒸しています。なかなかこういった料理には出会えないかと思いますよ」
小さな壺のような陶器の器の中にたっぷり浮かんでいるのは、クコの実、白キクラゲ、なつめ等の他にも、老廃物を取り除くビャクジュクや、蓬莱ニンジン、オニ蓮の実、百合の花、ギョクチク、そしてそこに当帰も入っていました。
これだけのものが入っているのに、飲茶とのセットで2,100円(税別)とは安いですよね。原価を下げるために素材も中国から手持ちで運ぶといった努力もされていて、ようやくこの価格帯で実現できているのだとか。その上お野菜も自家栽培で、お休みの日に畑作業をしながら育てているそうなんです。

「薬膳料理も、値段が高すぎて手が届かないより徐々に分かってもらえたら嬉しいから。金額云々ではなくてね。周りにはもっと値上げするように言われるけど、そこは気持ちでやっています。野菜も自分たちで作っているから何とかなっている部分もあるし」
動きっぱなしでしんどいこともあるけど、楽しい部分もあるしと李さんは語ります。そういった話を聞きながら薬膳スープを飲んでいると、どれだけ価値があるスープなのだろうとしみじみ感じられました。
「女性は当帰が染み込みやすい。だけど逆に、普段から血流がしっかりしている人は夜眠れなかったり鼻血が出たりね。だから「当帰湯」の他に「清補涼湯」もメニューとして用意しています。男性はお酒を飲むから肝臓、胃腸の働きなどに関係するものがいいかなと」

「酢豚も玉ねぎ、ニンジン、ナス、かぶ、トマト、きゅうり、ピーマンなどで、日によって内容が違うのはその時に採れた新鮮なものを使っているから」
「本来は、野菜そのものが薬膳なんです。乾燥させたりすることでビタミンが増えたりね。自然の元の味を引き出したり、調理のやり方で1日寝かして更に旨味を出してということもやっています」
「酢豚のタレは柑橘系のものをふんだんに使って酸味、甘みを出しています。お酢や砂糖も少しは入れているけど、フルーツを生かして作っています。それも時期によって取れるもの次第でタレの味付けは変わったりもしますよ」

「何十年も通ってくれるお客さんもいるので、飽きられないように変化していくことも必要だったりするし、逆にこうして欲しいというリクエストがあれば前もって言ってくれていたらできる所は再現できるしね」
「この薬膳にしろ酢豚にしろ、元々はなかったけどお客さんのリクエストで入れていったメニューだったりするんですよ。決まりっていうのは料理にはないって思っているから。大事なのは、新鮮なものを新鮮なうちに料理して食べてもらうっていう所かな」

私がこのお店の料理をいくつか食べた中で感じたのは、化学調味料のような味ではなく、じんわりと旨味があるということでした。食というものは元来ダイレクトに体を作っていくものだから、命を生むエネルギーですよね。食べながらそんな大切なことを思い出させてくれるお料理の数々。
「ハッキリ言うと、化学調味料を使えば簡単なんだけどね。だけど自分も食べたいと思えるものをお客さんにも出したいから、使いたいとあまり思わなくて。時代的にも多くの人がアレルギー持ってたり健康に気を使うようになってきているから、最近は特にね」

「反応が一番よく分かるのは、年寄りの人。中華はあまりいっぱい食べられないからって言ってたのに、最終的に人並みに全部食べて帰っていくという。普段は中華屋に行ったら残すのに、うちは野菜も多いしそこまで油っこくないから良かったって言ってもらえたりするのが嬉しいよね」
「そういう反応があるから、しんどくてお店辞めたいなって思う時があっても頑張れるし、想いを持ちながら自分は35年も続けられてきました。コロナの時期には凄い葛藤があったよ。だけどその後に戻ってきてくれたお客さんも多くいて、そういったことに支えられて今までやってこれたんです」

1971年にお父様が開店されて以来、場所を移動したり代替わりしながらも愛され続けてきた中華料理店「紅宝石」。
料理界の重鎮のようなコックさんが、本当の美味しさを伝えようとする李さんの料理に対する想いを理解して応援してくれていたり、最近では志を共にする料理人たちとのコラボなども支えになっていると李さんは語ります。
「代々伝わる良いものを残していっているお店はどんどん少なくなってきているけれど、そういう想いを持った人達と繋がってやっていけたらなと思っています。食べに来てくれるお客さんも、ひ孫まで連れてきてくれる常連さんもいるんでね、この先も大切に守っていけたらと」

家族経営で、皆で仲良くお店をされている「紅宝石」さん。一代目のお父様やお母様も現役でお店にいらっしゃって、話しかけるととても気さくに会話してくれたのが楽しかったです。ほんわかとした空気感で、李さんの家庭に招かれたような気分になれる、そんな素敵なお店でした。
紅宝石
場所:兵庫県神戸市中央区下山手通3丁目5−9
アクセス: JR・阪神元町駅から徒歩5分
営業時間: ランチ 11:30〜14:00、ディナー 17:00〜20:30
定休日: 火曜日(予約あれば営業)
電話:078-331-6162
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旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。
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