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千葉県 -館山市

館山駅前徒歩1分!街のキーパーソンに会えるコラーゲンたっぷりの「てぇじる」店【館山市】

「てぇじる」 写真提供:鯛あら汁・おにぎりKichi(きち)
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鍋田ゆかり

館山駅東口を出たロータリー沿いに、「鯛あら汁・おにぎりKichi(きち)」という店があります。3階建てのビルの壁面には、おにぎりとあら汁のイラストに「DELICIOUSONIGIRI EXCELLENT! ARAJIRU」と大きく描かれていて、1階には赤地に鯛のイラストと、「Kichi」の文字が入ったサイン幕が。実はこの店、日本テレビの情報番組「ZIP!」など、テレビでもとりあげられたことがある知る人ぞ知る、人気のお店なのです。オーナーの漆原(うるしばら)秀さんに話を聞きながら、人気の秘密を探っていきましょう。

「てぇじる」と「にぎぃめし」

館山駅東口前にある、鯛あら汁・おにぎりKichi(きち)

私が訪れたのは、春の三寒四温の「寒」の日で、しかも雨。「寒い寒い」と思いながら駆け足で店内に駆け込むと、ふわ~っと優しい香りに包まれました。何だか懐かしさを感じるようなこの香りの正体は、「出汁」。店内では30分ごとに塩分の計測と味見をし、常にKichiの味を保っているという鯛のあら汁の香りでした。南房総の方言「房州弁」では、鯛汁は「てぇじる」、おにぎりは「にぎぃめし」というそうなので、ここでは房州弁で表記してみましょう。


てぇじるとにぎぃめし、小皿2品、お新香が付いた「てぇじる&おにぎり定食」を注文し、にぎぃめしは、instagramで見て気になっていた醤油漬けの卵黄を、イノシシジビエのにぎぃめしに乗せてもらいました。自家製豆腐の冷奴、水菜と高野豆腐のおひたし、肉団子など3品ある小皿から2品選び、2階席へと向かいます。

1人でもゆっくり過ごせる店内
1人でもゆっくり過ごせる店内

4人がけテーブル2つと、窓際にカウンター6席。壁2面に窓があり、明るい店内の窓際に座ると、駅へと向かう車や行きかう人の姿が見えます。私も1人ですが、他のお客さんも1人でカウンターに座っていました。


スタッフが定食を持ってきてくれると、海苔のいい香りが。まずは、鯛の形をしたかわいいピンクの最中を食べてから、おつゆをいただいてみる。

鯛あら汁、おにぎり並、小皿2品、お新香が付いた「てぇじる&おにぎり定食」
鯛あら汁、おにぎり並、小皿2品、お新香が付いた「てぇじる&おにぎり定食」

私は濃厚な豚骨ラーメンが好きで、ふつうのラーメンだと物足りなさを感じてしまうのですが、このてぇじるは濃厚ですごくうま味があるけど、しつこくなくて身体に優しく沁み入ります。


ところで、みなさんはてぇじるを食べたことはありますか?私は、多分初めてじゃないかと思うのです。箸使いが苦手なので、自分ではあまり選ばないメニュー。でもこのカウンターだと、ちょっとくらい箸使いが下手でも人目を気にせず、手をがんがん使って鯛の頭やカマに付いている身を食べられます。


“あら汁”と聞くと、骨だけというイメージがありましたが、ここのてぇじるには身がぎっしり詰まっていて、弾力があります。

鯛の目玉
鯛の目玉

この目玉は……、どうしたものかと思って聞いてみると、目玉も食べられるとのこと。「目の周りはコラーゲンがたっぷりです」との言葉に気をよくして、一気に口に放り込みました。


目玉の中から少し硬い小さな球体が出てきたけれど、他はとろっとしていて柔らかい。このてぇじるは全体的に、身がほろほろで骨からするっと取れます。にぎぃめしや自家製豆 腐ももちろん美味しかったのですが、てぇじるの身体が喜ぶおいしさは、一度食べたら癖になりそう。

「すてきなビルがある、すてきな街、すてきな旅になる」

オーナーの漆原秀さん
オーナーの漆原秀さん

漆原さんは、なぜこの場所にてぇじるとにぎぃめしの店をつくろうと思ったのでしょうか。実は、漆原さんが手がけているのは鯛あら汁・おにぎりKichiだけではありません。2016年、館山市に移住した漆原さんは、元公務員宿舎を購入後リノベーションし、原状回復義務のない集合住宅「ミナトバラックス(以下ミナバラ)」をつくりました。


コミュニティのある暮らしの温もりと豊かさをミナバラで体感し、地域活性やまちづくりに興味が沸いてきます。2019年、市内にあった診療所をリノベーションした「tu.ne.Hostel (ツネホステル)」をオープンさせ、2022年には館山駅前にあったビルを仲間と改装し、「sPARK(スパーク)」と名づけてテナントスペースとして再生。月 に1度はマルシェも開催しています。

sPARKで開かれているマルシェの様子
sPARKで開かれているマルシェの様子

新たな若手移住者も増え、駅前も少しずつ変わってきましたが、年配の方からは「敷居が高くて入れない」という声を耳にして、駅前を日常的に活性化させるには、もう一つ何か必要だと思った漆原さん。そのとき目に入ったのが、現在Kichiが入っているビルです。当時の空きビルを見て一番初めに決めたのは、ビルの名前でした。その名は「intro(イントロ)」。


漆原さん「駅に立って左側から見渡していったとき、まず目に付く小さなビル。通りを挟んだ隣にsPARKがあって、そこから街に広がっていく様子が、曲でいうイントロの部分だなと思いました。街の印象を決めるわずか15秒の視野に入るビル。『すてきなビルがある、すてきな街、すてきな旅になる』みたいなイメージです」

館山駅前の通りを挟んでintroとsPARKがある
館山駅前の通りを挟んでintroとsPARKがある

なぜ、鯛あら汁・おにぎりKichiが、日本テレビの情報番組「ZIP!」で紹介されたのか。それはてぇじるのおいしさだけではなく、漆原さんの移住後の経歴と、その活躍に理由があったのです。

地域の人に、日常的に愛されるものを

南房総市にある道の駅「富楽里(ふらり)とみやま」には、人気のつみれ汁があります。別荘族や二拠点居住者たちが、「あれを目当てに必ず立ち寄る」という言葉を何度も聞いていた漆原さんは、「素朴なお魚の汁っていうのは、記憶に残ってまた行きたくなるような、そういう効果があるんだな。ああいうのをやりたいな」と、漠然と思っていました。


魚の卸をしている地元の会社から、「鯛かぶとがたくさん余っている。未利用部位を使って、何か館山の名物をつくらないか」という話が舞い込んだとき、漆原さんは「鯛のあら汁、これはいいな」と思ったのです。

じっくり煮込まれたてぇじる
じっくり煮込まれたてぇじる

地域の人に、日常的に愛される店にしたいと考えていましたが、残念ながら地元の人が日 常的にてぇじるを食べにくるイメージは沸きません。てぇじると相性がよくて、地元の人 に日常的に愛されて、この街に無いもの……。それがにぎぃめし専門店でした。

一日のはじまり、旅のはじまりをKichiで

すてきな朝の始まりを提供するために、鯛あら汁・おにぎりKichiは朝7時45分から営業。店内限定メニューもありますが、ほとんどのメニューはテイクアウトが可能です。店を始めてわかったのは、バスを乗り継いで病院に通う地元の高齢者が、意外と多いということ。「1人分のご飯をつくるのが大変で」と言って、にぎぃめしを買いに立ち寄ってくれる方も多いそうです。

駅前には高速バス乗り場もあり、千葉や東京方面へ向かう人たちが利用しています。そんな人たちが車内で飲める「汁だけカップ」は、お客さんの声から生まれました。冬はおでん、夏は冷鯛汁など、季節ごとのメニューもあります。

にぎぃめしと昭和の駅弁茶を持って帰路につくのもいいですね
にぎぃめしと昭和の駅弁茶を持って帰路につくのもいいですね

おいしいから、好きだから来る、という人たちがほとんどですが、街づくりに興味がある、移住や二拠点居住を考えていて、という人たちが、漆原さんの存在を知って店に訪ねてくることもあるそうです。駅前にあるただの飲食店ではなく、街のキーパーソンに会える店、それが鯛あら汁・おにぎりKichiなのではないでしょうか。漆原さんは、
「不動産投資とまちづくりを両立する”マイクロデペロッパー養成講座」も開講しているので、興味がある方はリンクをチェックするか、
「てぇじるください!」と言って店に突撃してみてください。

【メディア情報】
番組名:相葉マナブ(外部リンク)
放送局:テレビ朝日
日時:4月6日18:00〜

585『魅力いっぱいの館山をマナブ!』
メンバー:相葉雅紀(嵐)・小峠英二(バイきんぐ)・あばれる君・岡部大(ハナコ)
鯛あら汁・おにぎりKichiと、漆原さんの活動が紹介されます。

【店舗情報】
店名:鯛あら汁・おにぎりKichi
住所:〒294-0045 館山市北条1882-25 intro 1F,2F 
営業時間:朝7:45-11:00 昼 11:00-14:00 夕 15:00-17:00
     ※曜日により営業時間が異なるため、要Instagramチェック
定休日:月曜
詳しくはInstagramを参照してください

取材協力:鯛あら汁・おにぎりKichi

鯛あら汁・おにぎりKichiのご協力により、取材用に定食を無償でご提供いただきました。この場をお借りして、心より御礼申し上げます。

この記事を書いた人

鍋田ゆかり
ライター

鍋田ゆかり

Website: https://awaawalife.com/

バックパッカーで世界を旅して漂着したのは、千葉県房総半島の安房(あわ)。ボロボロ古民家を仲間と改修しながら、犬猫ヤギと暮らしはじめる。安房の自然にどっぷり浸かりながら、アウトドアや暮らしを堪能しつつ、魅力ある人や場所を紹介している。

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