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千葉県 -館山市

ボート生活の拠点・イギリスから一時帰国。築100年の洋館カフェで漂着アート展【館山市】

Fumico Birkettアート展「Fumico Exhibition」
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鍋田ゆかり

イギリス在住のコンセプチャルアーティスト、バーケット富美子さんの展示会が3日間限定で開催されます。場所は、館山市内にある築100年の洋館を利用したカフェ「TRAYCLE MARKET&COFFEE(以下、トレイクルマーケット)の2階。漂着物や廃材を利用して、環境問題や社会問題に関心を持ってもらえるような作品を、約30点展示しています。


「環境問題や社会問題」といわれると難しく考えてしまうかもしれませんが、鑑賞して何を感じ、何を受け止めるかはあなたの自由。9日に開かれた「プライベートビュー」にお邪魔し、初めて会ったバーケットさんの人柄に心をつかまれた筆者が、その魅力についてお伝えします。

魅了される来場者たち

鏡を使った作品の説明をするバーケットさん
鏡を使った作品の説明をするバーケットさん

バーケットさんは、2022年6月にも、トレイクルマーケットで展示会を開き、その収益の一部である約10万円をウクライナの人道支援のため、国連児童基金(ユニセフ)に寄付しました。展示会後もカフェ内にはいくつかの作品が展示されていて、カフェを利用する多くの人の目に触れていました。


そのとき作品を目にした南房総市在住の女性が、プライベートビューに訪れました。バーケットさんはすかさず彼女の元へ行き、自己紹介をします。見ているだけでも、バーケットさんが人好きで、好奇心を持って訪れた人と交流しているのが伝わってきます。初対面 の2人は笑顔で会話しながら、一緒にいくつかの作品を見ていました。女性に、感想を聞いてみると、「作品はカフェで見ていたけど、先生がすてき!」との返事が。


「作品は人がつくっているものだから、つくっている人も作品の一部だと思うんです。作品だけ見るのと、作品と作者をひっくるめて見るのとで変わってくるから、来れて良かったです」

訪れた人たちとの交流を楽しむバーケットさん
訪れた人たちとの交流を楽しむバーケットさん

彼女もまた、バーケットさんに魅了されたようです。横須賀から家族3人で訪れたという別の女性は、イギリスでバーケットさんと同じ町に住んでいたといいます。「イギリスでは、1、2週間に1回くらい会って、イギリスの愚痴をよく言い合っていました」と、茶目 っ気のある笑顔で話します。イギリスでもバーケットさんの展示を見に行っていたという彼女に、イギリスでの作品との違いについて聞いてみました。


「イギリスの当時の作品よりも、少し優しくなっている感じがします。日本人の富美子さんの表現で、日本でつくった作品て感じ。見ていると、昔の作品を思い出させる作品です」


と話してくれました。彼女は、バーケットさんに会うために初めて館山を訪れたそうです。彼女もまた、イギリス在住時代からバーケットさんに心をつかまれているひとりなのではないでしょうか。

「一番のコレクターは私」と宣言

2022年の展示会のときはコロナ禍真っただ中で、帰国前にワクチンの接種や検査を受け、ホテルで1週間隔離されてやっとの思いで帰国したそうです。なぜ、そんな大変な思いをして、その時期に帰国したのでしょうか?その問いに、「歯医者に行きたかった」と答えるバーケットさん。


「命がけで帰国して、題材は山ほどありました。コロナとウクライナにしぼって作品をつくった」と言います。当時の展示会には、ミュージアム関係者やアーティストも訪れ、「表現が自由なことに感動した」と言われたそうです。


今回の帰国には、何か理由があったのか尋ねてみると、「ボートでの冬は寒かったから、12月に出てこっちに来たの」と笑顔。作品同様、自由で何にも捕らわれないバーケットさんの「一番のコレクターは私」と豪語するのは、トレイクルマーケットのオーナー夫妻、知識(ちしき)絵理子さんです。実は、絵理子さんはバーケットさんの娘さんなのです。

仲の良さが伝わってくるオーナー夫妻とバーケットさん
仲の良さが伝わってくるオーナー夫妻とバーケットさん

今回も、既に何点か購入したという絵理子さんは、「大好き。全部買いたい」と感情を込めて答えます。「海で一緒に拾った、ラジカセを使ったこの作品とか。一緒に拾いに行ったり、木を切ったりしています。古いものとモダンなものが融合されている作品です」。

海外は、旅行ではなく住むところ

バーケットさんは東京出身で、結婚を機に館山で暮らしました。「赤ちゃんのときからアーティスト」と語るバーケットさんは、2歳から12歳までの子どもたちに絵画や造形、デザイン、影絵や舞台装置作り、ナレーターなどを館山で15年間教え、施設で発表もしていました。


自分の子どもが20歳になり、自身が50歳を迎えた1997年、ここで一生を終えるのは嫌だと思ったバーケットさんは、「世界を見に行こうかな」とNYへ向かいます。けれどNYで見たものは、人との競争や経済の世界で、アート=お金になっていました。NYにがっかりした彼女は、「アフリカなら、生と死の境に現代アートがあるのでは」と考えます。
「当時アフリカは危険な状況だったので、スペインから見てみようと思ってマドリードに少し滞在して、アンダルシア、マラガへ移り、バルセロナが一番長くて10年住みました」


バルセロナで出会ったアーティストのTim Birkett氏とともに、スペイン、インドネシア、フィンランド、日本、ドイツ、ギリシャに暮らします。ときには、廃材を利用してギャラリーをDIYして営み、作品を制作・展示してきました。「海外は、旅行ではなく住むところ」と言ってそれを実行し、自らの行動を「キャラバン」と表現しました。そんな彼女は現在、イギリスの運河をボートで移動しながら暮らしています。


「新しいところでは可能性を感じるけれど、長くいるうちにしぼんでいくから、出ていく。船は、周りが変わっていく。それに慣れると、同じところにはいられないですね」
世界各地でギャラリーを営んできたバーケットさんは、ボートにギャラリーをつくり、移動しながら暮らし、作品づくりを続けています。

4日間だけの貴重な展示会

TRAYCLE MARKET&COFFEEはおからマフィンが人気
TRAYCLE MARKET&COFFEEはおからマフィンが人気

今回も、売上の一部はユニセフを通して、世界の子どもたちの命と健康、権利を守る支援に寄付されます。


ボートで製作し、イギリスから持参した8点と、館山で拾った漂流物も多く利用して製作した作品が並んでいます。一つ一つの作品に込められた意味、なぜこのタイトルに至ったのかなど、ここで紹介するときりがないですし、バーケットさんから直接話を聞いてほしいので、紹介はしません。


わずか4日間という貴重な機会を逃さないでください。きっと、新たなバーケットさんファンが急増することでしょう。

TRAYCLE MARKET&COFFEE外観
TRAYCLE MARKET&COFFEE外観

【展示会詳細】

名称:Fumico Birkettアート展「Fumico Exhibition」
日時:4/10(木)~4/13(日)
   11:00-17:00
入場:無料
場所: TRAYCLE MARKET&COFFEE 2階
〒294-0036 千葉県館山市館山95−70
公式webサイト

取材協力:バーケット富美子、TRAYCLE MARKET&COFFEE

この記事を書いた人

鍋田ゆかり
ライター

鍋田ゆかり

Website: https://awaawalife.com/

バックパッカーで世界を旅して漂着したのは、千葉県房総半島の安房(あわ)。ボロボロ古民家を仲間と改修しながら、犬猫ヤギと暮らしはじめる。安房の自然にどっぷり浸かりながら、アウトドアや暮らしを堪能しつつ、魅力ある人や場所を紹介している。

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