【千葉市】小さなパン屋、モワティエさん
WRITTEN BY 格さん
館山市神余(かなまり)地区にある日吉神社で、250年前から伝わる伝統芸能「かっこ舞」が奉納されました。神余地区の子どもたちが高校生になったとき、かっこ舞を披露するのが習わし。少子高齢化で高校生だけでの奉納がなかなか難しい状況ですが、OBたちが協力して支え続けています。今年は男子高校生の踊り手が4人、花笠を被って「ささら」を鳴らす女子高生2人が参加し、活気づいています。この日のために毎晩練習を重ね、やっと本番を迎えた現場の様子をお伝えします。

車で神余地区に入ると、沿道にはカラフルな花飾りが飾られ、先日の雨で生き生きとした田園風景を背景に、ピンクの提灯飾りが映えて気持ちが盛り上がります。日吉神社社務所前には、踊り手などの関係者たちが集まり、ジュースを手に乾杯。夜の練習にもお邪魔しましたが、当然みなさんの表情が柔らかく、この日を迎えられて喜んでいる様子が感じられます。

神余地区を移動しながら6回踊りを披露する1回目。日吉神社の境内には立派なカメラを手にしている人や、小さな折り畳み椅子を持参して楽しみに待っている人たちが目につきました。
雷の音を表す大太鼓や笛の演奏の後に続いてかっこ舞を踊る三匹の獅子、花笠を被った女 性たちが階段を上がります。そのまま人々が見守るなか、境内でかっこ舞の奉納が始まりました。

2匹の雄獅子が雌獅子を取り合うように喧嘩をするシーンや、踊りの師匠たちが持つしめ縄を力強く引っ張るシーン、1匹の獅子が神様と参拝者の間をつなぐ鈴緒(すずお)を勢いよく揺さぶるシーンなど、見どころがたくさん。

そんななか視界に入ったのが、見物客の中にいる小さな男の子が、獅子と全く同じように見事に踊っている様子でした。小学生低学年くらいでしょうか。小さな子が踊っているだけでも可愛いのですが、その踊りが本格的過ぎてついつい見入ってしまいます。
あとで話を聞いてみると、神余地区に住むお婆さんの家に毎週通っているという5歳児でした。祭りが好きで、かっこ舞のDVDを見ながら踊っているそうです。こうやって小さいうちからかっこ舞に惹かれていた子どもたちが成長し、高校生になったとき晴れ舞台に立つのでしょう。この子が舞う姿を見られる日が、今から楽しみになりました。

真剣な眼差しで見ていた子どもたちのお母さんはなんと、リトアニアの方でした。日本人 のご主人と御宿から見に来たそうです。もともと祭りや神事が大好きだという彼らが初めてかっこ舞を知ったのは、
Yahoo!ニュースエキスパートの記事を見たからといううれしい答えが。見たことがない獅子舞がどういうものなのか、事前に調べてから訪れたそうです。
今年から神余の学校で英語を教えているというアメリカ人の先生も、見に来ていました。NYに住んでいた彼は、日本やスペイン、メキシコなどのお祭りをNYで見たことがあるそうです。でも、神社の境内で奉納されるかっこ舞を見るのは初めて。「太鼓のリズムが印象的だった」と言います。
近隣の地区から見に来たという男性は、「若い人が頑張っていて、すてきだと思います」と感想を聞かせてくれました。

40分ほどの演目で踊る人は大変だと思いますが、見ているとあっという間で、獅子たちは拍手に包まれながら、笛と太鼓の音とともに階段を降りて行きました。
今年初めて踊った高校1年生は、「難しいし、緊張しちゃう」と言いながらも、彼が暮らす「上・大倉集会所」でこの後踊るときは、「大人になったのを披露できる。もうちょっと大きく踊ろうと思っている」と話してくれました。
笛奏者のひとりである女性は、10年前から笛をやっていたけど一時中断し、今年復帰したそうです。彼女の息子さん2人は既に大学生と専門学生ですが、帰省してOBとしてかっこ舞を踊っています。そして、娘さんが今年高校生になってささらで参加するため、初めて子どもたち3人と共演できるのだとか。想像しただけで胸が熱くなりますが、地区内にはこういったストーリーがたくさんあふれているのでしょう。

「神余かっこ舞保存会」は、神余地区全員が会員です。地区内にある神余小学校のPTAも、地区住民全員が会員になっています。小規模特認校の神余小学校や伝統芸能かっこ舞存続のために地区が一丸となって取り組んでいるのです。

今日1日で6回披露されるかっこ舞。最後は日吉神社境内に戻り、21時から始まる予定です。今から帰路に着こうとしているなら、ぜひ年に1度のかっこ舞を一目見て行ってください。
【イベント詳細】
名称:神余日吉神社のかっこ舞
日程:7月20日
時間と場所:21:00~ 日吉神社境内(〒294-0023 千葉県館山市神余932)
取材協力:神余かっこ舞保存会
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バックパッカーで世界を旅して漂着したのは、千葉県房総半島の安房(あわ)。ボロボロ古民家を仲間と改修しながら、犬猫ヤギと暮らしはじめる。安房の自然にどっぷり浸かりながら、アウトドアや暮らしを堪能しつつ、魅力ある人や場所を紹介している。
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