【千葉市】小さなパン屋、モワティエさん
WRITTEN BY 格さん
南房総への玄関、鋸(のこぎり)山の南側に位置する鋸南(きょなん)町は、人口6,060人(2026年2月1日時点)の町です。「道の駅保田小学校」がある場所と言ったほうが伝わりやすいでしょうか。海と山、美しい自然と人々の暮らしがギュッと詰まった魅力的な町の「食」にスポットを当てた「産地と台所をつなぐ、町民による町民のための地域食材ハンター通信」を紹介します。
企画を立ち上げて執筆しているのは、三浦幸子さん。地域おこし協力隊員として鋸南町に移住し、任期満了後も町に暮らしています。農業振興業務の隊員として活動していた三浦さんは、学校給食の地産地消促進のために農家の畑を訪れる機会がありました。畑で出会った人たちの話を聞くと、ふだん料理をしない三浦さんでも「料理がしたくなる」と、当時を振り返ります。
三浦さん「貰った野菜の食べ方を聞いたら、みんな目の色が変わってお気に入りの食べ方を教えてくれるので、食への気持ちが強いと思いました。東京ではスーパーに並んでいる姿を見ていたけど、こっちには土に生えている姿がある。命だから、それをいただくからにはおいしくいただかなきゃ」
命を大切にすることと、食を大切にすることはイコールであると学び、農業に携わっている年配の人たちの食に対する想い“食いしん坊”を、若い人たちに伝えたい。快く見学させてくれた農家の人たちにお礼がしたい。そんな気持ちから生まれたのが、「地域食材ハンター通信」です。

食
いしん坊のハンターたちが、畑の主のこだわりを聞いてお気に入りの食べ方を深掘りし、3~6カ月に1回、季節をずらすようにハンター通信を発行。最終的に5年くらいかけて、毎月の旬野菜の食べ方や地域独特の食生活をお届けしていきます。
給食食材のリサーチのために旬の食材を聞き取りしたとき、ショウガへの偏愛と「山腹ヨコ穴保管」の話が複数の人から共通して出てきたため、2025年8月の創刊号では「生姜に命をかける人々」と題して取り上げました。南国植物が育っている畑を紹介する「畑見 学レポート」や「勝山くじら談話」も紙面を賑わせました。
地域食材ハンター通信の第2号は12月に発行され、「一度植えたら万年収穫!!食糧難知らずの健康生活のススメ」という一面のタイトルに目を奪われます。食の不安を感じる今、庭で何を育てるべきか勉強になります。4月5日には第3号「野草大特集」が発行されるので、こちらも楽しみです。
紙面のデザインは、「できるだけ房日(ぼうにち)新聞に近づけて」とデザイナーにお願いしたそうです。房日新聞は鋸南町を含む南房総エリアのローカル新聞で、地元の方たちに多く読まれています。房日新聞寄りのデザインにした理由は、「載るとみんなテンション上がるから」と三浦さん。

三浦さん「給食では地域の食いしん坊熱を表現できないから、盛り上がるように新聞にして、『うちも取材してほしい』って食いしん坊が集まってきてほしいと思って」
デザインは、鋸南町出身で現在富津市在住のアキヨシアイさんです。小学生と中学生の子 どもがいるので、食育を楽しんでくれそうだという思いもあって依頼しました。
アキヨシさん「18で上京したので、町の知識は子どものときのまま。ショウガの食べ方 とか興味なかったから、逆に新鮮な気持ちです。生まれ育った町の知らないことを、まさか40代で知ることになるとは(笑)」
紙面を飾る写真は「自分も撮ってもらいたいと思ってもらえるように」と、房総のカメラマン、ヒロタケンジさんにお願いしました。本物の新聞のようなデザインの中に、外からと中からの目で見た鋸南町がギュッと詰まっていて、住人たちの自然な表情の写真が目を惹きます。
子どもたちの心もつかみたいと、三浦さんお手製のキャラクターが登場した4コマ漫画コーナーもあります。どんな新聞を目指しているのか、三浦さんに聞いてみました。
三浦さん「食いしん坊精神=『房州らしさ』だと思います。旬の時期の人々の高揚を面白 おかしく伝え、子どもたちに届ける。将来のチャーミングな房州人に会うために、老若・地元民・新規住民入り交じってみんなで作る新聞を目指しています」
三浦さんは、仕事でイベントに出店して町の食材や食をアピールすることがありますが、イベント終了後、食育の第一人者を自負する人たちが残り物を捨てている姿を目撃し、違和感を覚えました。町に戻ると、米のとぎ汁を植木用にとっておく人や、ニワトリのエサ用に野菜の外葉やくず米をくれる人たちがいて、当たり前のこととして命を大切にしている町民たちの、「勿体ない精神の激烈さを感じた」と言います。
鋸南町と、この地で農業を営む人たちへの愛あふれる地域食材ハンター通信は、「道の駅きょなん」にある観光案内所などで購入可能です。農業や食に興味がある人なら、とても学びになる内容なので、ぜひ手に取ってじっくり読んでみてください。これからの時代を生き抜くあなたの糧に、きっとなると思います。
【地域食材ハンター通信取り扱い場所】
名称:道の駅きょなん 観光案内所
住所:〒299-1908 千葉県安房郡鋸南町吉浜517-1
名称:生活工房 やまよし
住所:〒299-2115 千葉県安房郡鋸南町下佐久間3616
名称:百姓屋敷じろえむ
住所:〒294-0802 千葉県南房総市山名2011
料金:一律300円
取材協力:地域食材ハンター通信
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バックパッカーで世界を旅して漂着したのは、千葉県房総半島の安房(あわ)。ボロボロ古民家を仲間と改修しながら、犬猫ヤギと暮らしはじめる。安房の自然にどっぷり浸かりながら、アウトドアや暮らしを堪能しつつ、魅力ある人や場所を紹介している。
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