0
%
千葉県 -千葉県市原市

「歌で平和を伝えたい」──初心者から始まった『市原ぞうれっしゃ合唱団』が届ける命の物語

KEYWORD
WRITER
トラッキー

ぞうれっしゃがやってきたとは

『ぞうれっしゃがやってきた』を歌いたい。

その一つの思いから誕生したのが、市原市を拠点に活動する「市原ぞうれっしゃ合唱団」です。2024年4月に結成され、大人も子どもも一緒に平和への願いを歌い続けています。団体は現在約27人が所属し、毎週火曜日を中心に練習を重ねています。初心者も歓迎し、子どもは無料で参加できるなど、幅広い世代が集う合唱団です。

『ぞうれっしゃがやってきた』は、戦争を生き延びた名古屋市の東山動物園のゾウと、そのゾウに会うため全国から子どもたちを乗せて走った「ぞう列車」の実話をもとにした合唱構成作品です。第二次世界大戦中、日本各地の動物園では、空襲で猛獣が逃げ出す危険があるとして、多くの動物たちが殺処分されました。しかし、東山動物園では飼育員たちの懸命な努力により、アジアゾウの「エルド」「マカニー」の2頭が生き延びます。戦後、そのニュースが全国に広まると、「本物のゾウを見たい」という子どもたちの願いが各地から寄せられました。その声に応え、1949年(昭和24年)、国鉄が特別列車「ぞう列車」を運行。全国から約1万人の子どもたちが東山動物園を訪れ、平和の象徴となったゾウと対面しました。

  小出隆司さんの絵本も出版されています。

この感動的な実話をもとに、作曲、藤村記一郎さん、作詞、清水則雄さんらによって合唱構成作品『ぞうれっしゃがやってきた』が制作されました。歌だけでなく語りやセリフを交えながら、戦争の悲惨さ、命の尊さ、そして平和への願いを描く作品として、全国各地の合唱団や学校で歌い継がれています。

そして市原ぞうれっしゃ合唱団では、9月13日(日)に「第2回ファミリーコンサート」を開催します。

戦争の悲惨さや命の尊さ、そして平和への願いを歌と語りで紡ぐ「合唱構成『ぞうれっしゃがやってきた』」を披露する予定です。子どもから大人まで幅広い世代が心を一つにして届ける感動のステージ。平和について改めて考えるきっかけとなるコンサートへ、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

市原ぞうれっしゃ合唱団について

今回、いちはら子ども未来館Weホールで行われていた練習を見学させていただきました。

この日は夏休み前の平日ということもあり、参加者は少人数でしたが、その分、一人ひとりの歌声がよく響き、立派なホールいっぱいに美しいハーモニーが広がっていました。団員の皆さんは真剣な表情で音程やタイミングを確認しながら、平和への思いを込めて一曲一曲を丁寧に歌い上げます。温かく和やかな雰囲気の中にも、本番へ向けた真摯な姿勢が感じられる練習風景でした。

各パート別に熱唱されていました。

 

合唱にかける想い

練習終了後には、合唱団代表の西村いづみさん、そして団員の皆さんにお話を伺いました。

結成の経緯や作品への思い、活動を続ける原動力、練習の様子、そして平和への願いなど、それぞれの立場から熱い思いを語ってくださいました。団員の多くは合唱未経験からのスタートでしたが、「歌を通して平和を伝えたい」という共通の思いが、世代を超えて人と人をつないでいることが伝わってきました。

代表の西村いづみさんは市原市内で音楽教室をされています。

―西村先生、この合唱団設立のきっかけを教えてください。―

「はい、何か歌いたいから合唱団を作ろう。というのが出発点ではありませんでした。まずあったのは、『ぞうれっしゃがやってきた』をみんなで歌い、平和への思いを伝えたい。という強い願い。その思いに共感した人たちが少しずつ集まり、現在の市原ぞうれっしゃ合唱団が誕生しました。団員の多くは、この作品に出会うまで「ぞうれっしゃ」の存在を知らなかったんですよ。作品への共感が人と人をつなぎ、世代を超えた仲間づくりへと発展していったのです。』

代表の西村先生

―皆さんはどんな思いで参加されていますか―

男性:「戦争を知らない世代だからこそ、この作品を通して平和の大切さを伝えていきたい」という思いに共感し、ともに歌声を重ねています。夫婦で同じ目標に向かって活動する姿も、この合唱団ならではの温かい魅力の一つです。足を引っ張ることもありますが、皆仲良く楽しくやっています。」

団員の中には、ご夫婦で参加されている方もいらっしゃいます。

女性:「作品の内容を知った時、本当に感動しました。ちょうどウクライナで戦争が続いていた時期でもあり、小さな子どもたちに平和を伝える活動を続けることが大切だと思い参加しました。」

そんな思いに共感した人たちが、少しずつ仲間になっていったそうです。

―合唱団の人数や練習日などを教えてください。―

「現在の団員は約27人。小学生から70代まで幅広い年代が所属し、その多くが合唱未経験からのスタートです。

『最初は楽譜も読めませんでした。』『「自分のパートを覚えるだけでも大変です。』

そんな声が聞かれる一方で、『みんなで声を合わせると本当に気持ちいい。』『歌うことでストレス発散にもなります。』とメンバーは楽しくやっていますよ。また月に一度はプロのオペラ歌手による指導も受けながら、少しずつハーモニーを磨いています。」 (今回はプロのオペラ歌手の方も参加されるそうです。)

ファミリーコンサート

“合唱”ではなく”合唱構成”

この作品は一般的な合唱とは少し違います。

全11章のストーリー仕立てとなっており、歌だけでなく語りやセリフ、子どもたちの独唱などが織り込まれています。団員によると、「お客様から『まるでミュージカルを見ているようだった』と言われることが多いです。」

とのこと。戦争の悲しみ、命の尊さ、そして子どもたちの笑顔まで、一つの物語として表現されるのが「合唱構成」の魅力です。

演奏を聴いて涙する人も

昨年開催したファミリーコンサートでは、多くの来場者が涙を流したそうです。

「演奏を聴いて泣いてくださるお客様がいらっしゃいます。」結成からまだ2年余りですが、いすみ鉄道での応援コンサートなど出演機会にも恵まれ、活動の輪は少しずつ広がっています。

第1回ファミリーコンサートの模様です。(市原市京葉中部教会)

インタビューに参加いただいたメンバーの方々です。

戦後80年以上が過ぎ、戦争を直接知る世代は少なくなりました。しかし、『ぞうれっしゃがやってきた』が伝える命の尊さと平和への願いは、今も色あせることはありません。

歌声に乗せて語り継がれる実話は、大人の心にも深く響き、子どもたちには未来への希望を届けてくれます。

市原ぞうれっしゃ合唱団の皆さんが紡ぐハーモニーに、ぜひ耳を傾けてみてください。そこには、世代を超えて受け継ぎたい「平和」のメッセージが込められています。

【市原ぞうれっしゃ合唱団「第2回ファミリーコンサート」】

日程:9月13日(日)

場所:いちはら子ども未来館 weホール 3階多目的ホール

千葉県市原市更級5-1-18 HP いちはら子ども未来館

時間:開場 13時半 開演 14時

入場無料

取材協力:代表 西村いづみ先生  練習参加メンバーの皆様

市原ぞうれっしゃ合唱団 HP

https://ichihara-machisapo.jp/0339

※団員も募集中です。

この記事を書いた人

トラッキー
ライター、ガイド、

トラッキー

千葉市の名所旧跡の見学や美味しいもの食べ歩きを趣味としています。健康のために主にウォーキング、自転車で巡っています。Facebook,instagramでの投稿も積極的に行っています。写真も趣味なので是非御覧ください。

このライターの記事を読む
BACK