【千葉市】小さなパン屋、モワティエさん
WRITTEN BY 格さん
SNSやテレビでも取り上げられて人気がある鋸山(のこぎりやま)。よく知られているルートもありますが、今回紹介するのは、GWにハイキングツアーとして初めて公開されるハイキングコースです。「鋸南(きょなん)みまもり隊」の山本正大さんが、ひっそりと佇む石切り場跡を見つけ、地権者に許可を得て、ハイキングコースとして仲間と整備を行いました。山本さんの案内で実際に歩いたコースや、初公開のハイキングツアーについて紹介します。

鋸山は、江戸時代から昭和初期にかけて房州(ぼうしゅう)石の採石が行われていた山 で、千葉県安房郡鋸南町と富津市の境界に位置した山です。標高329メートルで、2024年11月号の月間誌『山と溪谷』で、「日本100低山」に選ばれています。

古代遺跡のような石切り場の跡や、岩壁に直接彫刻された巨大な「百尺観音」、断崖絶壁にある「地獄のぞき」などが人気で、国内外から多くの観光客が訪れている山。時代や国をタイムスリップしたような空間や、歴史あるスポット、苔むした岩などが撮影心をくすぐります。

GWに初公開されるルートは、地域住民の手によって運営されている鋸南みまもり隊として活動し、鋸山の認定ガイドでもある山本さんが今年の2月に発見しました。毎週鋸山に入り、観光資源として利用できる新たなルートはないかと探し歩き、「行き尽くした」と言う山本さん。
山本さん「元名(もとな)林道には何もないと思っていて、無いことを確認しに来たら見 つけました」

この石切り場跡のとなりの谷に、明治の地図に載っていた溜め池の確認をしに行ったとき、周辺を見ると山を超えられそうだったので谷へ入ってみると、この石切り場跡があったそうです。道中には、江戸時代に使われていた堰「船ヶ柵(ふねがさく)」の跡や、「もしかしたら、ここも石切り場だったかも?」と思えるような場所もあります。

石をまっすぐに切り出すのは職人の技で、これをどうやって運んだのか、石切り場を眺めながら運び出したルートを想像します。「1本80キログラムの房州石を、昔の人なら背負って運んだかもしれませんね」と、山本さんは想像します。
山本さんによると、明治23年の文献に、元名地区にある石切り場の名前が3ヵ所書かれていて、その一つがこの船ヶ柵だそうです。
山本さん「石切りの初期、溜め池が生活圏で、ここから石を求めて奥へ奥へと入って行ったのかもしれません」
いつでも、誰でもがハイキングを楽しめるコースにするために、山本さんは地権者を探しました。すると、たまたま地権者が知り合いだったのです。
地権者がこの場所を引き継いだ20年くらい前、ここに入って石切り場跡があることは知っていましたが、うっそうとしていて怖かったので、それ以降ここに入ることは無かったそうです。幸運なことに、ここまでは赤道が伸びていて鋸南町が管理をしているため、町と地権者に許可を得れば入ることができます。

山本さんは、4月の毎週土曜日に地元有志とともにコースの整備を行いました。2~3人が集まって、チェーンソーやシャベル、熊手を持って、倒木を処理して小川を渡る橋に利用 したり、積もった落ち葉を掃いて歩きやすくしたりしました。
実際に歩いていると、歩きやすいようにシャベルで土を削ってつくった階段もあり、丸太が何本も掛けられた小川を渡るときは、冒険心をくすぐられました。

ガサガサっと音がしたので目をやると、何か小動物が慌てて逃げて行きました。「タヌキかな?」と山本さん。遠くにキョンの鳴き声がひびくなか、「ここでシカやキョン、サルに出会いました」と言います。
近辺には炭小屋の跡や、農業用の溜め池跡もありますが、40~50年くらい人が利用していないまま放置されていた場所を切り開き、人を案内できるコースに仕上げました。現状、人を案内する際は毎回地権者に許可を得なければいけない状況ですが、今後、いつでも誰でもがハイキングを楽しめるよう鋸南町にも働きかけていく予定です。

今ある鋸山の登山道には急斜面がありますが、このコースは緩やかな斜面で、アップダウンがあまりありません。鋸山の頂上まで行かずに、中腹にある石切り場跡で引き返すコースなので、初心者に向いています。
道の駅「保田小学校」に隣接している「保田小ようちえん」から、登山道入り口まで7.5キロメートルで、歩いて40分ほど。登山道が片道1キロメートル強で、30分ほどのコースになります。対象は、小学校高学年以上を想定。
フジの花がきれいな季節ですが、山の中に入ると意外と見当たらず、足元にある花びらを見つけて探してみると、上の方にフジがあるのを見つけられました。ひっきりなしに鳥の声が聞こえているので、バードウォッチングに興味がある方は双眼鏡を持参してもいいかもしれません。
コンパクトで気持ちのいいコースと、遺跡のような石切り場を体験しに、特別ハイキングツアーへぜひご参加ください。
【イベント詳細】
名称:鋸南の知られざる山を歩く 特別ハイキングツアー
日時:5月3日、5日
午前の部 9:30~12:00、午後の部 13:30~16.00
参加費:500円(レジャー保険含む)
集合場所:保田小ようちえんショップ前
〒299-1902 千葉県安房郡鋸南町保田724
要事前予約:0470-50-1238
取材協力:鋸南みまもり隊
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バックパッカーで世界を旅して漂着したのは、千葉県房総半島の安房(あわ)。ボロボロ古民家を仲間と改修しながら、犬猫ヤギと暮らしはじめる。安房の自然にどっぷり浸かりながら、アウトドアや暮らしを堪能しつつ、魅力ある人や場所を紹介している。
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