【千葉市】小さなパン屋、モワティエさん
WRITTEN BY 格さん
美しい田園風景が広がる、南房総の岩糸エリア。田んぼを眺めながらナビの通りに進むと、「MOMO」の看板が目に入ります。看板がある垣根の中には、広い敷地に立派な古民家が。2025年5月にオープンした、「そばCafe MOMO」について、店主の岡田義之さんに話をうかがいました。

朝から雨が降る5月のある日、そばCafe MOMOの敷地に入ると、既に何台か車が停まっていました。「雨だから空いているかな」という読みは大いに外れ、多くの人が次から次にやってきました。
岡田さんが1人で料理や接客を行っているので、のんびり待つことに。外を眺めると、窓から見える新緑が雨に打たれている姿が美しく、「雨の日の景色も悪くない」と思わせます。

ランチメニューは、天ぷら付きのもりそばのみ。そこに、野菜を使った総菜や五目飯などのご飯が付きます。総菜の材料は近所の人たちからのもらいものなので、自然とその季節の旬野菜を使ったものになります。
近所に住んでいるという男性は、「田舎でこういう店をやってくれたから、盛り上げていかないと」と話し、前日に新玉ねぎを差し入れて、この日は友だちを連れて食事に来ていました。
初めて訪れたという女性は、「古民家で雰囲気がいいし、ジャガイモやタケノコ、フキを使ったお惣菜は、田舎ならではの旬の素材が使われていました。お惣菜とご飯も付いて、800円は安いです」と笑顔を見せます。

お客さんは岡田さんが1人で準備していることを知ってか、古民家のゆったりとした空間で友だちと談笑しながら、ランチが運ばれてくるまでの時間を楽しんでいるように見えました。
先週までは、セルフでお惣菜を取るようにしていたそうですが、今週からオーダー後に揚げたての天ぷらを出すようにしました。その理由を、「冷たくなると寂しいので」と言 い、揚げたてを味わってもらうために手間を惜しみません。

そばは小麦粉2割、そば粉8割の二八そばで、弾力とコシがありました。そばつゆは、みりんを煮たててしょうゆと砂糖を加えたかえしを、1週間寝かせています。厚いカツオ節を30分煮出した出汁3に対して、かえしを1加えたものを使用。そば湯も出しているので、そばつゆの残りに加えて堪能できます。
揚げたての天ぷらはサクサクで、カボチャはホクホク、新玉ねぎは甘味がおいしかったです。ジャガイモとタケノコやノブキの煮もの、ソラマメは季節感があり、新鮮な旬の食材を食べて、身体も喜んでいるようでした。
ご飯はその日によって、鶏ごぼうの炊き込みだったり、五目だったり。館山の郷土料理、「ごんじゅう」が出ることもあります。豚バラ、えのき、シラタキを炒めて、ご飯に混ぜたもので、通常のごんじゅうはおにぎりにしますが、ここではご飯の状態で提供しています。

館山市内で生まれ育った岡田さんは、長年障害者支援施設で働き、2年前に定年退職しました。施設が運営しているそば屋の立ち上げに関わった経験があるから、そば屋を始めたのかと思いきや、実はそうではありませんでした。
岡田さん「オートバイが好きなので、そういう人が集まれるようなカフェをやりたいと思っていました。どこかいい場所がないかなと思っていたら、ここを使ってもいいよと言われて、そばに関わっていたし、そばも出そうかと思ったら、カフェをやる暇もなくそば屋になっていました」
店舗がある場所は住宅地なので、バイクに乗る人たちが集まって迷惑になってはいけないと考え、古民家なのでそば屋に落ち着いたというわけです。

そば屋と同じ敷地内には「ギャラリーMOMO」があり、ギャラリーのオーナーが古民家を貸しています。古民家のインテリアは、絵画や焼き物など、さまざまな作品に関わってきたオーナーのセンスが感じられ、心のこもった作品がさりげなく置かれている空間が、より一層寛ぎを与えてくれます。

ギャラリーの展示を見にきた人が、そば屋のランチを食べて帰ったり、そばを食べに来た人が、ギャラリーに立ち寄ったり。ギャラリー内にもカフェがあるので、岡田さんがランチの準備で忙しそうなときは、それを察した人たちはギャラリーのカフェでのんびりと過ごしていくこともあります。
店舗の入り口にかかっているのれんと木の看板は、ギャラリーで墨彩画展を行った画家、佐藤和喜さんが書いたもの。

ギャラリーMOMOとそばCafe MOMOは、お互いにいい影響を与えあっていますが、訪れる人にとっても便利で、どちらでも寛げる憩いの場になっています。
そばは手間がかかりすぎるので、今後は天丼のメニューを開発して天丼の日を作り、営業日を増やせたらと考えている岡田さん。
岡田さん「この時期、本当はよもぎ餅も作りたかったんです。フルーツあんみつなんかも提供したい。いろいろな人が協力してくれるので、負担をかけずに日々の食事を楽しめて、みなさんが集えるような場所にしたいです」

シャンソンが好きでよく聴いていた岡田さんは、自宅からレコードプレーヤーとレコードを店内に持ち込みました。しかし、レコードは片面が20分なので、頻繁にかけ直さなければなりません。今はそんな余裕がありませんが、岡田さんの挑戦はまだ始まったばかり。これから試行錯誤しながら、理想のお店を作り上げていってほしいと思いました。
【店舗情報】
店名:そばCafe MOMO
営業日:金・土・日曜日
営業時間:食事 11:45~13:30
カフェ 13:30~16:00(ラストオーダー15:30)
※現在ドリンクのみの提供
住所:〒299-2512 千葉県南房総市岩糸1093
【ギャラリーMOMO情報】
名称:坂本一樹展 WAVE―森譚歌―
期間:5月23日(金)~6月1日(日)
時間:12:00~17:00
休廊:火・水・木
住所:〒299-2512 千葉県南房総市岩糸1093
■6月13日(金)~23日(月) (火・水・木休廊)は 「豊田洋次展—われるそら—(立
体作品)」を予定しています。
取材協力:そばCafe MOMO、ギャラリーMOMO
そばCafe MOMOのご協力により、取材用に定食を無償でご提供いただきました。この場をお借りして、心より御礼申し上げます。
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バックパッカーで世界を旅して漂着したのは、千葉県房総半島の安房(あわ)。ボロボロ古民家を仲間と改修しながら、犬猫ヤギと暮らしはじめる。安房の自然にどっぷり浸かりながら、アウトドアや暮らしを堪能しつつ、魅力ある人や場所を紹介している。
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