【横浜市】の歴史を語る上で欠かせない“美しい博物館”のようなクラシックホテル「ホテルニューグランド」
WRITTEN BY 佐原ねお

川崎区・京町商店街の一角に、茶室を構えた本格和食のお店があります。その名も「えん想 虎城庵(こじょうあん)」。炭火焼と懐石料理をベースに、茶道の精神を取り入れた料理で、訪れる人の心をほどきます。2025年7月、母の一周忌のあと家族で訪れたのをきっかけに、店主・吉田篤さんの人柄と料理の魅力を取材しました。

「えん想 虎城庵」 店主・料理長 吉田篤さん
7月22日、家族で「えん想 虎城庵」を訪れたのは、母の一周忌の法要を終えた日のこと。交通の混雑で予定より1時間も遅れてしまいましたが、店主で料理長の吉田篤(よしだ・あつし)さんは「お参りが終わったらお電話ください」と快く対応してくださいました。遅れを咎めることもなく、むしろ心を込めて料理を仕上げてくださった姿勢に、静かな感動を覚えました。

店内の茶室空間
吉田さんは川崎生まれの川崎育ち。22歳で青山の名店に住み込みで修行を始め、大阪、京都、赤坂、向島など各地で腕を磨きました。中でも印象的なのは、40年前に親方と共に「料理の鉄人」に出演されたというエピソード。厳しい料理の世界で、「トップにならないと食っていけない」と自らを奮い立たせ、29歳で「百人一朱」の料理長に就任。その後、溜池山王の「折おり」グループ5店舗の総料理長も務められました。しかし、2019年のコロナ禍で長年勤めた店舗が休業となり、2022年には早期退職。地元・川崎で新たな一歩を踏み出す決意を固め、「茶室のある和食店」を夢見て物件を探し、京町で現在の店舗を開かれました。

大徳寺弁当
おすすめは、お昼の「大徳寺弁当」。この日は、黒毛和牛のすき焼き風、カマスの若狭焼、ゴマ豆腐、緑ナス、京がんも、冬瓜、ほうれん草とまいたけのお浸しなど、季節の素材がぎっしりと詰まっていました。

じゃこのご飯にかにしんじょとジュンサイのお吸い物
季節の素材を味わう大徳寺弁当は、2200円(税込み)です。

デザートは、青梅と梅のシャーベットにお抹茶
まるで小さな茶会に招かれたかのような、丁寧なおもてなしに感動しました。

お子様ランチ
お子さま向けには、卵焼き、唐揚げ、ポテトフライ、おむすびなどが詰まった特製弁当も用意してくれました。

春から夏へ ご夕食特別コース7500円(税込み)
夜は、カワハギのお刺身に、鮎や鱧の炭火焼、締めには鯛めしを味わえるコースがおすすめ。10月からはふぐ料理がメインになります。
「味の決め手は、やはり“だし”ですね」と吉田さん。東京都ふぐ調理師、神奈川県ふぐ包丁師、さらに裏千家講師の資格を持つ確かな腕前で、その味は地元でも評判を呼んでいます。「もっと高く設定してもいいくらいの内容」と言われることもあるそうですが、「高すぎてお客さんが来ないのは絵に描いた餅」として、できるだけ手頃な価格を心がけているとのこと。店内には本格的な茶室もあり、「銀座や赤坂にあってもおかしくない」と評される落ち着いた空間です。

京町商店街の一角にお店があります
若い頃はヤンチャな時代もあったという吉田さん。母からは料理の道を反対されていたそうですが、今では「お前の料理が一番おいしい」と言ってくれるのだとか。
「川崎で育ったからこそ、知り合いも多く、誰かが誰かを呼んでくれる。地元に恩返しがしたい」と力強く語ります。
現在は、定休日なし・ワンオペで営業中。昼は11時30分〜13時30分、夜は18時からお客様が帰るまで。休みなく厨房に立つその姿に、職人としての誇りと地元愛があふれていました。
「この記事を見た」と伝えて夜のコースをご予約された方には、ワンドリンクのサービスがあるとのこと。ぜひ一度、川崎・京町の名店を訪れてみてください。
【基本情報】
えん想 虎城庵(こじょうあん)
住所:川崎市川崎区京町1-9-14 キムラビル1階
電話:044-589-3206
アクセス:
・JR川崎駅東口から徒歩20分
・川崎駅東口 川28系統「二の辻」下車 徒歩1分
・JR南武線 川崎新町駅 徒歩7分
・京浜急行 八丁畷駅 徒歩10分
SHARE:
鈴木よしえ
元山形テレビアナウンサー。フジテレビ、テレビ朝日などの情報・ワイドショー番組でリポーターを務めたほか、FMラジオのパーソナリティ、各種イベント司会として活動。
現在はこれまでの取材経験を活かし、地域のニュースや人物、文化、産業の魅力を映像と記事で発信している。カメラ・音楽・ナレーションまで一貫して手がけ、生まれ育った地域をはじめ、各地の“まだ知られていない大切な物語”を丁寧に伝えている。
かわさき産業親善大使・タレント名鑑掲載。