【東京都杉並区】荻窪の路地裏にオープンして6年目。「美味しいものを少しずつ」をポリシーに、創意工夫に満ちた進化形の和食が味わえる店。
WRITTEN BY 酔街草

『光陽楼』
”町中華”という言葉が生まれたのは、わりと最近の事なのだが、何となく昔からあった呼び方であるかのような錯覚を覚えてしまう。昭和の時代の商店街には、必ず一軒は中華料理店があって、大衆食堂としての活気に溢れていたせいであろうか。荻窪の『光陽楼』(こうようろう)は、そんな”町中華”の先駆け的存在となった老舗のひとつ。
元々は江東区の亀有が発祥の地である『光陽楼』は、暖簾分けによって都内中に広がって行き、最盛期には60店舗ほどにも及んだそうだ。本店で修業を積み、独立して北千住に店を構えた初代が、その後、荻窪を移転先に選んだのが昭和41年(1966年)。当時の店は、今よりも駅寄りにある「教会通り」の中央付近に有って、従業員も多く抱える繁盛店だった。二代目店主である佐京重男さんは、高校に通いながら16歳の頃から厨房を手伝っていたという筋金入りの調理人だ。
現在の場所に移転してからは約20年。ホールを担当する妻の玉恵さんと二人三脚で店を切り盛りしている。何を食べてもどこか懐かしい味わいが感じられるのはもちろん、下町発祥の店ゆえに”お腹を一杯にしてもらうのが目標”というポリシーは、昔から何ひとつ変わっていない。「教会通り」時代から二世代、三世代で通い続ける常連客が多いというのも納得だ。


荻窪駅の北口から徒歩で約10分。青梅街道と環状8号線が交差する四面道交差点の手前を右折して「日大二高通り」に入ると、すぐ右手に『光陽楼』の暖簾が翻っている。長年通っている常連ならお分かりかと思うが、つい最近、暖簾が新調された。一見、バスの停留所の標識を模したようなオブジェがご愛嬌。小さな文字のメニュー表と営業時間が貼られている。

北国の玄関先を思わせるような二重の引き戸を開けて店内へ。4人掛けのテーブルが4卓と6人掛けのテーブルが1卓で、カウンター席は設けられていない。静かで落ち着いた雰囲気はどこか和風の趣があるのだが、以前は寿司屋だったと聞いて溜飲が下がった。
厨房は店内の奥の方にあるため、客席からは調理風景は臨めないのだが、時折り中華鍋を振る小気味良い音が聞こえてくる。
ホール担当の玉恵さんの物腰の柔らかい接客にも好感が持て、なるほど家族で常連となる訳がここにもありそうだ。

麺類をはじめ、ご飯類、一品料理、各種定食、セットメニューなどなど、メニューは実に豊富。炒飯や餃子などの定番物も驚くほど旨い。リーズナブルな値段にも注目なのだが、残念ながら年明けからは値上げを余儀なくされているとの事。

「うま煮定食」(900円)。野菜と海老がとろみと共に絶妙のハーモニーを奏でる。
酔街草にとって、定食の種類が多いのも魅力のひとつだ。ランチにはとても重宝しているのだが、何にするか決めあぐねるのが毎度の悩みでもある。生卵のサービスは、労働者や学生の客に精をつけてもらおうと先代から続けている。最後に味変するも良し、TKGにして楽しみのも良しだ。ちなみに生卵が苦手という方は、海苔と交換してもらえる。

人気アイテムゆえたまに売り切れとなるのが「酢豚定食」(900円)。揚げ豚も柔らかく、仄かな酸味が利いていて絶品!

これまた定番の「レバニラ炒め定食」(900円)。丁寧に下ごしらえされたレバーとニラのしゃきしゃき感がたまらない。
定食に付く塩味仕立てのあっさりとしたスープや自家製の漬け物も美味。米は茨城県産のコシヒカリを使用しており、ふっくらさとほろ甘さが良い。

普通のラーメンや他の麺類も捨て難いのだが、どうしても食べたくなってしまうのが「もやしそば」(800円)。もやしのたっぷり入った餡が細麺に絡んで箸が止まららなくなること請け合いだ。割りとサービス品になることが多いのも楽しみ。
夜の時間帯は常連客がほとんどだという、地域に根付いた『光陽楼』。定休日が毎月10、11、20、21、30、(31)日と、やや変則的なのにも理由がある。
「曜日によって通って来る常連さんがそれぞれ居るんでね~、公平を期すためにそうしたんです」と、重男さんは笑顔で答えた。
さてさて、今宵も大満足、ご馳走様!
『光陽楼』
住所:東京都杉並区天沼3-12-7
電話番号:03-3392-2929
アクセス: JR荻窪駅・東京メトロ丸ノ内線荻窪駅北口から徒歩約10分営業時間: 11:30~15:00(L.O.14:30) 17:30~22:00(L.O.21:30)
定休日:毎月10、11、20、21、30、(31)日
カード不可、現金払いのみ
(この記事は「Yahoo!ニュース エキスパート」2023年12月24日掲載時の内容です。現在の価格、営業時間、定休日などは最新情報にてご確認ください)
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