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宮崎県 -西都市

【西都市】神話の婚活、切ない鬼の純情…投げられた石は古墳を越えて石貫神社へ

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omi

ある娘に恋をし、その親に結婚を申し出たとします。しかし、親は無理な条件を突きつけてきます。さらに、それをクリアする直前に妨害し、「達成できなかったから結婚はなしだ!」と言い放ったら……あなたはどうしますか?今回は、そんな神話にまつわる石貫神社の話です。

一途な鬼の物語

はるか昔の神話の時代、一人の鬼がいました。彼は一人の娘に恋をしました。名はコノハナサクヤヒメ(「このはな咲く夜姫」と覚えると忘れにくいです)。神話の世界でもトップクラスの美女です。

彼女の父は、山の神であるオオヤマツミノカミ。鬼は父に結婚の許可を願いました。しかし、鬼に娘をやるわけにはいかないと思った父は、ある条件を突きつけました。

「明日の朝までに岩屋を作ってみなさい。もし完成することが出来たら、娘をお前にやろう。少しでも完成していない部分があれば、この話は無しだ」

もちろん、鬼に娘をやることを断るための、無理難題でした。

完成直前に起こった仕打ち

ところが鬼は、もともと力が強かったのか、それとも愛の力なのか、夜明け前に完成させてしまいました。安心した鬼は、夜明けを待つため眠りにつきました。

これが現在の「岩屋」の姿です
これが現在の「岩屋」の姿です

鬼が寝ているとき、オオヤマツミノカミが様子を見に来ました。できっこないと分かっていても、一抹の不安があったのでしょう。そして岩屋を見て驚きました。完成していたのですから、無理はありません。そうなると娘を嫁に出さなければなりません。それだけは避けたい。彼は岩屋の天井から石を一枚抜き取り、遠くへ投げ飛ばしました。

石は現在の第二古墳群を飛び越えて飛んでいきました
石は現在の第二古墳群を飛び越えて飛んでいきました

鬼が目を覚ましたとき、石が一枚足りず、岩屋は未完成になっていました。愕然としたことでしょう。しかしオオヤマツミノカミは平然と言いました。

「石が一枚足りない。残念ながら結婚の話は無しだな」

鬼の苦労は無になりました……

鬼が作ったその岩屋は、のちに「鬼の窟(いわや)」と呼ばれ、西都原古墳群で一般公開されています。

なぜ岩屋がその後古墳になったのか?そこは神話の世界の出来事ですから……
なぜ岩屋がその後古墳になったのか?そこは神話の世界の出来事ですから……

また、近くには娘の父のオオヤマツミノカミが眠っていると伝えられる、大山祇塚があります。

娘のその後

コノハナサクヤヒメは、ニニギノミコトと結婚し、「日本書紀」では海幸彦、山幸彦、火須勢理命という三人の神を生んだとされています。なお「古事記」では少し違い、火照命、火須勢理命、火遠理命を生んだとされています。山幸彦、あるいは火遠理命の孫が神武天皇になります。

鬼のその後

どのような悪さをしていたのか分かりませんが、鬼の心情を思うと切なくなります。しかし求婚時に改心していれば、別の結果になっていたかも。そしてその鬼は今どこに?実は意外なところにいました。それは後程。

投げた石はどこに落ちた?

投げられた石は古墳群のはずれにある、石貫神社に落ちました。「天井石」と言われ、今でも神社に鎮座しています。

石貫神社で神話の続きをたどる

では、その石貫神社を見てみましょう。西都原第二古墳群のはずれにある静かな神社です。

一の鳥居で出迎える意外な人物

最初の鳥居(一の鳥居)をくぐるとすぐ右側で、出迎えてくれたのは……

鬼です!

しかしなぜ?人間の感情で考えると、この場所は鬼にとって思い出したくもない場所のはずですが……。しかも祀られているのはコノハナサクヤヒメの父であるオオヤマツミノカミです。

もしかしたら石を投げたことをいまだに知らずにいるのでしょうか?だとしたら不憫です。それとも和解したのでしょうか?色々考えることはありますが、せっかく出迎えてくれているのですから、あいさつをして先に進みましょう……と思ったら、石があります!

神話の石が現実に

これは、あの神話でオオヤマツミノカミが放り投げたとされる「天井石」です。

この大きさの石が落ちてくることを想像すると、ちょっと怖くなります。

広い草原を歩いているような開放感

二の鳥居までの道の両脇には民家や畑があります。そのせいか、のどかで開放感があります。

途中から芝生になっています。参道というより草原を神社に向かって歩いている感じで、絵本の世界のようです。

横は公園になっているのでしょうか。遊具があります。それにしてもどこまでが境内なのでしょう?

ワンちゃんもウィンクしてお出迎え
ワンちゃんもウィンクしてお出迎え

二の鳥居に着きました。ここをくぐると拝殿です。

右側には案内板。ポップな感じが敷居がなく、親近感を覚えます。

拝殿:屋根に宿る美

いよいよ拝殿です。複雑に入り組んだ屋根の構造で、とても美しい造りです。少し見入ってしまいました。

奥には本殿への階段が見えます。

今度は奥にある、その本殿を見てみましょう。

本殿:歴史と構造美

鮮やかな朱色の屋根と、アンティークな壁の対比。加えてこの構造美。心にしみる美しさです。

拝殿と本殿はこのようにつながっています。

鳥居側の風景。開放感ある場所であることが良くわかります。

心の重しも放り投げてもらいましょう

いかがでしたか?

開放感あるこの神社で、太古の風に吹かれながら、神話の世界にふれてみてください。

イザナギとイザナミの間に生まれたのがオオヤマツミノカミです
イザナギとイザナミの間に生まれたのがオオヤマツミノカミです

そして、オオヤマツミノカミが祀られているこの場所で、モヤモヤしたものがある方は、それを石のように投げ飛ばしてもらいましょう。でもそれは、どこに飛んでいくのでしょうね……

石貫神社

住所:〒881-0005 宮崎県西都市大字三宅4615-ロ (地図)

駐車場:無し。西都原古墳群の駐車場から古墳を見ながら行くのがおすすめです

西都市観光協会:0983-41-1557

この記事を書いた人

omi
パフォーマー

omi

古墳好きの道産子。札幌で生まれ育ち、新宿、ニューヨークなど喧騒の場所を転々とする。2017年12月、宮崎県綾町に移住。2024年から2年間、yahoo!地域クリエイターとして宮崎県綾町、国富町、西都市情報を執筆。2024年9月、古墳記事でYahoo!MVA賞受賞。

仕事の傍らバンド、タップダンス、パントマイムの舞台活動を行っていたが、現在は活動休止中。
詳しいプロフィールはnoteにて。

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