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神奈川県 -藤沢市

「“その朝”何が起きたのか」不登校児の母が立ち尽くした「マンション13階の衝撃」その先に…

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ころんころ

「学校へは行かない」

不登校の子は、そんな“強い意志”を持った「生き方」を貫いている――。

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小沼 陽子(おぬまようこ)さん

そう語るのは、2人の子どもが不登校を経験した小沼陽子さん。

「長男は小学生の頃から登校しぶりが始まり、中学3年間は一度も登校できませんでした。はっきりとした理由はわからないまま、続いて長女も不登校に。朝、起きてこない息子を、共働きだった夫と抱えて学校へ向かう毎日は、まさに壮絶な修羅場でした」と当時を振り返ります。

そんな日々の中で、小沼さんの心を大きく揺さぶる“ある朝の出来事”が起こります。

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息子を抱えて家の外に連れ出し、エレベーター前で待っていたとき、息子が突然走り出してマンションの非常階段の先へ。

――息子の姿が消えた――

――落ちたかもしれない――

「場所はマンションの13階。全身が凍りつくような恐怖に襲われたものの、幸いにも息子は無事でした(死角に居た)」

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「無理に学校へ行かせることは、本当に正しいのだろうか」「なんとしても、息子を生かさねば」――。

葛藤の中で生まれたその問いが、小沼さんの考え方を少しずつ変えていくことになります。

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そもそも不登校とは、「学校に行きたくても行けない」または「行かない状態が続くこと」を指します。

文部科学省は、原則として30日以上の欠席が続く場合を不登校と定義。2023年度の調査では、小中学生だけで30万人以上が不登校で、前年度比約4万7,000人(15.9%)増、11年連続の増加傾向にあります。

また、30日以上の欠席には至らなくとも、「教室に入れず保健室で過ごす」「週に数日しか登校できない」「遅刻や早退が頻繁にある」といった子どもたちもいます。これらの“隠れ不登校”や“不登校傾向”のケースを含めると、その数はさらに膨らむと見られています。

なお、不登校の背景は一様ではなく、学校環境、心身の状態や特性、家庭や生活環境など、複数の要因が複雑に絡み合っているのが実情です。

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我が子2人が相次いで不登校となった現実に、「まさか、うちの子が…」と受け止めきれずにいたと語る小沼さん。

しかしその後、多くの不登校の子どもたちと向き合う中で、小沼さんは彼らが“周囲の空気を敏感に察知し、自分にとって何が苦しいのかを繊細に読み取る力(心のSOSを見逃さない感受性)”を備えていることに気づいたといいます。

子どもたちは、ただ“行けない”のではなく、“行かない”という選択を通して自分を守り、自分らしく生きようとしている。その選択は、決して逃避ではなく、“意志ある判断”といえるのではないだろうか――。

こうした経験を通じ、小沼さんは20年務めた会社を退職。地域全体で子どもを育てる視点から、すべての子どもに優しい社会の実現を目指す団体「特定非営利活動法人(NPO法人) 優タウン」(以下、「優タウン」)を創立します。

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藤沢市在住。2017年、「ホームスクーリングで輝くみらいタウンプロジェクト」を立ち上げ、2023年には「特定非営利活動法人 優タウン」としてNPO法人化。現在は、藤沢市子ども・子育て会議の市民委員を務めるほか、神奈川県立横浜明朋高等学校ではスクールメンターとして子どもたちの伴走支援にも携わっている。

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「優タウン」の活動の中心は、“家庭を拠点に地域のさまざまなところを活用して子どもが学ぶ教育形態”「ホームスクーリング」の支援。

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「ホームスクーリング」は、不登校や通学が困難な子どもに学びの機会を保障できるほか、親子ともに自己肯定感を育めるなど、さまざまなメリットがあります。

その一方で、家庭だけで学ぶことによる孤立の懸念もあるため、「優タウン」では地域の公共施設や大学、企業、フリースクールなどと連携。子どもが安心して、興味のあることに主体的に取り組める環境づくりを進めてきました。

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具体的な活動の一例としては、親同士が悩みや情報を気軽に共有できる場「朝Cafe」「夜Cafe」、子どもたちの作品展示やワークショップを通じて自己肯定感を育む「朝Cafeこどもアート」、不登校への理解を促すセミナーなどを継続的に開催。

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セミナーには、「学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校」の上木原副校長(2018年当時)や、映画「ビリギャル」のモデルとして知られる小林さやかさん(1年で偏差値を40上げて慶應義塾大学に現役合格)などが登壇し、今まさに起きている“自分ごと”に寄り添う内容として、多くの共感を集めています。

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第3回セミナー講師・小林さやかさん(2019年4月/参加者120名)

こういった地域での活動が広がるにつれ、「無理に学校へ行かせなくてもいい」と考える親は少しずつ増えてきたという小沼さん。しかしその一方で、「そうは言っても、日々どう過ごせばいいのか分からない」と戸惑う声も少なくないといいます。

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そんな親たちに、小沼さんはこう語りかけます。

「子どもには、親の本音や直感が伝わります。だからこそ、正解は人それぞれ。大切なのは、子どもをよく見て、親自身の感覚を信じて向き合うこと。親が人生を楽しむ姿を見せることで、子どもも自然と元気になっていくのです」

生きる道をどう選ぶかは、「子どもに合わせて考えていい」「自分の感覚を信じていい」という小沼さんの言葉は、迷いの中にいる親たちの心を、静かにほぐしていきます。

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こうした境遇の親子同士が、互いに安心して交流できる場を、現実だけでなくインターネット上に構築された3D仮想空間「メタバース(Metaverse)」にも広げている同団体。

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VRを使ったメタバース活動

物理的な距離や時間の制約にとらわれず、自由に交流し、学びや体験を共有できる環境が着実に整いつつあります。

なお、直近では2025年11月19(水)10:00~12:00に「朝Cafe」の開催が予定されています。活動の詳細については、「優タウン」の公式 ホームページ(外部リンク)や公式 Instagram(外部リンク)で発信しています。関心のある方はぜひフォローしチェックしてみてください。

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私たち「地域の大人」「教員」「保護者」は、子どもたちの声にならない声に、どれだけ耳を澄ませてきたでしょうか。

小沼さんの活動は、家庭や学校という枠を越えて、社会の根底にある“当たり前”や“見えない圧力”を静かに揺さぶり、見つめ直すきっかけを与えてくれます。

子どもたちが「自分らしさ」を大切にできる社会へ。

その一歩は、今日、子どもの小さな声に耳を傾けることから始まるのかもしれません。

基本情報
特定非営利活動法人優タウン
所在地:藤沢市南藤沢7-2 沢滝ビル 2F the KAIDAN fujisawa内

公式 ホームページ(外部リンク)
公式 Facebook(外部リンク)
公式 Instagram(外部リンク)
※詳細は公式サイトをご確認ください。

取材・撮影・校正協力
特定非営利活動法人優タウン 小沼様

この記事を書いた人

ころんころ
ライター

ころんころ

神奈川県を中心に活動するライター。
「読まずにいられない記事タイトル」を信条に、地域の魅力や出来事を伝える。

2021年~2026年まで Yahoo!ニュース エキスパート 地域クリエイターとして活動。
2024年には ベストエキスパート2024 を受賞。

このほか、昭文社「まっぷるトラベルガイド」をはじめ、複数媒体・紙面で執筆。現在は「湘南経済新聞」などで執筆する。

元証券会社人事部出身。
年金アドバイザー資格(最上位2級)を持ち、キャリアや生活に関するテーマにも強みを持つ。

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